Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

来季もレギュラー?な内野手二人目

 なんかしょーん君のアナリシスをアップしたら予想以上に反響があったので調子に乗ってTEXのごとく二匹目のどぜうを狙いに行きたいと思います。

 という訳で本日の選手はしょーん君とキャラが被ってるようにしか見えない、童顔の内野手Reid Brignac君です。先に説明だけしておくと、彼は今年のTBの打撃陣を象徴するかのような壮絶な打撃不振に見舞われました。それでもSS専任で76試合に先発し、TBのSSでは最多の試合、イニングを任されました。その任された理由を解き明かし、さらに来季以降をちょこっと占ってみたいと思います。

 まずは基本データから

1986年1月16日生まれ 右投げ左打ち 6ft3int(190.5cm) 195lb(88.5kg)

 身長はしょーん君より8cm程高く同じ体重。背高いですけど向こうの内野手はこんなもんでしょう。来年の開幕時には26歳。まだまだ若いぜ、とは言いにくくなってきた年齢で、しょーん君より若いと言っても日本では同学年だしMLBでのキャリアもあまり変わりません。

 そんなBrignac(日本語でなんと表現したら良いかわからない発音+ニックネームしにくい)は2004年のドラフトにおいて2巡目全体45位でTBに指名され入団。期待の若手としてマイナーの階段を昇り始めることになりました。

 マイナーでは06年にA+とAAでフルシーズンプレーし、07年に通年AA、08年にAAAに昇格し、7月にMLBデビュー。07年にはBA誌のプロスペクトランキングでは全体の17位にランキングされる程(つまり各球団1人くらいはいるレベル)のトッププロスペクトとして期待されておりました。

 そんな彼の売り物は守備・走力・打力の全てがバランスよく揃った5ツール型の選手であること。07年のAAで133試合596打数で17HR15SBのSSですから大体のイメージは想像できるのではないでしょうか。

 09年からMLBに定着し、10年はフルシーズンでMLBに。OPSだけで見てみると.746→.692→.448と年々下降しております。ここの原因を中心に探ってみます。

 まず、いつものように従来のデータから見ていきましょう。ついでにしょーん君も一緒につけることで見比べてみます。

選手名 G PA H HR SB CS RBI BB K AVE

11Brignac 92 249 48 1 3 1 15 10 63 0.193

11しょーん 131 436 83 8 11 7 36 38 87 0.223

 あぁ…なんと言うことでしょう。前回やたら悪く言ったしょーん君が輝いて見えます。。。まず注目は本塁打。元々長距離砲という感じではないですが、マイナー時代はそこそこ本塁打も出ていた感じの選手ですし249打席で1本塁打はあまりにも悲しいかと思います。昨年は326打席で8本塁打でしたのでMLB本塁打を打つ能力が全くない訳ではなさそうですし。

 次に盗塁を見てみます。盗塁は3つだけ、企図数もわずかに4。こっちはそもそもMLB…というかAAA時代から企図数が急減しています。元々そんなに足が遅い選手でもなさそうなんですがなぜこのようなことが起きるのか不思議です。さらに通算では8盗塁6盗塁死。あまりにも盗塁成功率が低いですね。成功率が半々でしかないのであれば長期的に見れば盗塁はしない方がいいですし、重要な場面では失敗が怖くて盗塁をさせられないでしょう。

 そして異常に多い三振数…打席数がしょーんと200近く違うのに三振数は24しか違いがありません。しょーん君は決して三振が少ない打者ではないのですが。

同様のことが四球にも言えます。少ないすぎますよね、四球。

で、目も覆いたくなるような打率…。そういえばLAAの捕手が同じような打率だったような…。

 続いてSABAR的な視点で見てみます。

選手名 AVE OBP SLG BB% K% BABIP WAR

11Brignac 0.193 0.227 0.221 3.8% 23.9% 0.254 -1.1

11しょーん 0.223 0.323 0.357 8.7% 20.0% 0.268 2.3

 これもしょーん君との比較で見てみましょう。

 BABIP…どちらも可哀想ですね。.270を切るだなんて。。。こう比べると基本的に大して良くないしょーん君の成績を一つも余すところなく下回っています。OBP.227はレギュラー失格とかそういうレベルじゃないし、さらにそれを下回るSLG。ヒット48本に対して長打はわずか5本であれば仕方が無い成績ですが。もはやBABIPのせいにはできないこの酷さです。そしてせめて四球を選んでくれればいい物を、BB%でもわかるようにたったの3.8%。バリー・ボンズのキャリアハイのたった1/10(笑)まぁそんな怪物を超えた怪物と比べるのはよしておいて。せめてIsoDが.070以上あればいいのですが…。.100なんて贅沢は言わないので。そして三振率は4打席に1回に迫る高率…。だからTB以外の投手の奪三振率が高かったのですね(嘘)

 おかげでWARは-1.1。控え選手レベル以下ってことですね。WARがマイナスな選手は割と切られる傾向が(当然)高い訳ですが、このままではBrignacの立場も危ういですね。BABIPは通算では3割に近い数字出てるので来年以降の揺れ戻しに期待するしかないのでしょかね。

 ついでに面白いのはこれ。

LD% FB% GB% IFFB% HR/FB

22.5% 43.3% 34.3% 5.2% 1.3%

 LD%はそこそこ高いのでしょーん君よりバットコントロールは上手なんですかね。ただせっかく割と足が速い選手なのにフライが多いのはもったいないですね。転がせば何かあるかもなので。そしてHR/FBが驚異の1.3%。揺れ戻しで20%とかってボンズ級の成績にならないかな…それでも15-6HRだけど。それでもフルシーズン出場すれば30HRオーバーですよ。打率.193でも出塁率.227でもTBに必要なパワーは最低限供給してくれますよ。…はぁ~…言っててむなしくなってきた…。

 さて、ではなんでこんな彼が今年はSSの主力として使われてたのでしょう。それは10年にUZR/150で14.0という値を出した守備力と消極的な理由では他に選手がいなかったから。。。

 守備は良いでしょう。今年はUZR/150で0.2とほぼ平均でしたが、見てて下手には思えないですし。問題は「他に選手がいないから」の方。

 SSにしょーん君を起用すればいいじゃないか、という意見に従ってみます。そうすると2Bは自動的にZobになります。と、RFがJoyce。で、LFは?ってことです。終盤はジェニがいましたが、序盤は?出だしはスーパーサムが良かったですが失速。結局上手く当てはまりません。しかも序盤はLongoも休みをもらってましたからElliotなんかも同時に起用されなければいけない状況。正直Elliotだって二人とどっこいどっこいですよ。だったので結局ずっと起用されていた訳です。

 

 では、最後に彼の来年を占ってみましょう。現地では放出するつもりは無いようです。そしてしょーん君、Brignac、Elliotと3人揃ってまた絶不調なのは考えられない、という考え方が主流です。という訳で来年もBrignacはチームに残るでしょう。春にまたSSのポジション争いですね。来年はジェニがフルシーズン戦ってくれる予定なので、キーストーンが両方空いている状況は無くなりそうです。BJが放出になればしょーん君やジェニ、スーパーサムのCF起用があって、ポジションはできるかもしれませんが。まぁないとして、2BにZobが固定されるでしょう。そうなると事実上3人で1枠を争う状況。非常に厳しいでしょうね。来年は彼の出場数は減少することが予想されます。まぁ誰が抜けるかは分からないですし、誰も決定的なツールを持ってませんから。ただしこのまま落ちぶれていくのは彼のプライドも許さないはず。しっかりと戦ってTBを盛り上げて欲しいですね。

今 日はこんなところで。