Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

煮え切らない5ツールプレーヤー型遊撃手Sean Rodriguez

 JasoがSEAへトレードされて行きました。トレード相手は基本的には救援のルーク。そしてモリーナと基本合意に至ったようです。これで来年の正捕手はモリーナなのでしょうか。ただ彼はフルタイムの正捕手を務めあげられるのでしょうか。それともロバトンやシリノスに起用の目途がついたということなのか。

 トレード相手も良くわかりません。どうしても新たな中継ぎ陣が必要だったのか。それともAkiの時の様なたなぼたトレードを狙っているのか。ちょっと真相はわかりませんが、来季のTBがより良くなるように願っております。

 また10年、11年のPO進出に貢献したJasoには感謝しています。新天地でも頑張って欲しいと思います。

 さて、今日は上が本題ではなく、気になった選手をアナリシスしていきたいと思います。

 今回のターゲットはいつまでたっても煮え切らない元トッププロスペクトにして5ツールを備えたイケメン遊撃手しょーん君ことSean Rodriguezについて見ていきたいと思います。

 まずは基本データから。

 1985年4月26日生まれ 右投げ右打ち 6ft0int(182.2cm) 195lb(88.5kg)

 来年の開幕直後に27歳になる予定でそろそろ若手から中堅に差し掛かってくる頃でしょうか。身長は高くもなく低くもなく。体重がやや重めかもしれませんがパワーがあること考えるとこんなもんでしょう。野球選手なら標準かも。

 そのしょーん君は2003年のドラフト3巡目、全体90位でLAAから指名され入団しました。高校時代にはSSからCFにコンバートされ、それを嫌って転校するという男前なエピソードも持っていました。そんな男はマイナーを順調にステップアップ、09年にはLAAのAAAにおいて103試合で29HR、93RBI、OBP.400、OPS1.017を記録。9つの盗塁も同時に記録し、長打力と走力、守備力、を兼ね備えたトッププロスペクトとして名乗りを上げました。

 転機が訪れたのはその夏のトレード期限を過ぎた8月の末。低迷期のTBを支えた左腕スコット・カズミアーとのトレードの後日指名選手としてLAAからアレックス・トーレス、マシュー・スウィーニーと共にTBへ。スウィーニーは一向に伸び悩んでいますが、トーレスは順調に成長し、カズミアーがボロボロだったため完全にTBの一人勝ちトレードでした。TBとしては落ち目のカズミアーの年俸を負担してくれるところであれば相手がなんであれ成功トレードだったはずですから。それにしてもLAAはウェルズにしろなんか不良債権化しそうな選手を抱え込むの好きなんですかね?

 TBのチームメイトとして始まった10年はキャンプとオープン戦で好成績を残すとその勢いでロースター入り。しかし、当時は1Bにぺーな、3BにLongo、SSにバートレット、LFにCrawford、CFにBJと中核選手が要所のポジションにいることでしょーん君はレギュラーとしてのポジション確保はなりませんでした。

 それでもマドン好みのユーティリティーとして2Bの678.1イニングを始め、CF42.2、3B38、LF21、1B21、RF19、SS9と7ポジションをこなしました。

 11年はバートレットが移籍で抜けBrignac、Elliot JohnsonとSSレギュラー争いから始まりました。最終的にはBrignacがSSとして最多出場し、SSとしてはしょーん君は60試合430.2イニングの出場でした。ただしSS以外にも2B、3Bで3桁イニングを守るなど計5ポジションをこなし守備面においては一定の評価は得られる内容でした。

 さて、問題はここからです。バッティングの内容を見てみましょう。

まずは従来のスタッツ

G PA H HR SB CS RBI BB RBI AVE

131 436 83 8 11 7 36 38 36 0.223

 まず打率。やたら悪いです。.223とか…きっと統一球の影響ですね(嘘)そして本塁打はわずか8本。昨年は打席数が60程少ないのに9本打ってますし、AAAで年間30本塁打を記録したのが嘘のようですね。まぁMLBに対応できないでマイナー弁慶化するいわゆるAAAA選手ってのも多くいますし、その典型かもしれません。

 さらに一応足の速さも兼ね備えている選手なのですが18盗塁企図に対して7盗塁死、盗塁成功率61.1%しかありません。マイナー時代から盗塁成功率は決して高い選手では無かったですが、今回はその中でも低い率。これではかえってチームにはマイナスです。

と、まぁざっと見ただけではやっぱり好成績とは言えませんし、このままの成績が続くのであれば正直レギュラーとしてはやっていけないでしょう。

 このままでは悔しいのでSABARに頼み込んでみます。

AVE OBP SLG BB% K% BABIP WAR

0.223 0.323 0.357 8.7% 20.0% 0.268 2.3

 まず問題なのは三振率でしょう。その率20%。5打席に1打席は三振してる計算です。ちなみにしょーん君は元々三振率は高く、去年も25%超の三振率、マイナーでも大体20%を大きく超える三振率を誇っています。少しは改善の兆しかもしれませんがこれではいけませんね。

 しかしながらBB%は8.7%、IsoDは.100かなり高く出ています。これは良い点でしょう。四球が多く、三振も多いということはしょーん君は割とカウントを深くするのが好きな様です。一打席当りの投球数が3.96ですし、ここからも割とピッチャーに球数は投げさせているのがわかるかと思います。

 続いて長打率………言葉が出ません。あまりにも低い長打率かと思います。MLBでは毎年毎年下降傾向にあり、マイナーでは割とホイホイ6割台の数字をたたき出していたことを考えるとかなりさびしい数字です。HRだけでなく長打全体が少ないということでしょう。これは強いコンタクトができていないことを示しているのではないでしょうか。…きっと統一球の影響ですね(嘘)

 さらにBABIPを見てみると.268。平均で.300になることを考えてみると割と低い数字が出てるでしょう。三振が多いので分母が小さくなりBABIPの上下があまり打率には絡んで来ないとはいえ、平均より3%低くなれば打率も相応に下がるでしょうね。ここが今年のしょーん君の問題の一つであったのは間違いなさそうです。昨年.324、通算では.288なので去年の揺れ戻しがきた感じですかね。

 と、ここで終わらせてはなんの面白さもありません。以下をご覧ください。

LD% FB% GB% IFFB% HR/FB

17.4% 41.3% 41.3% 19.8% 6.9%

 ラインドライブの率は大体20%くらいは欲しいですから、かなり低い数字が出ていることが分かるのではないでしょうか。LD%がなんだと思われるかもしれませんが、やっぱりバットの芯でボールを捕えるとライナー性の打球になりますからこれがコンタクトの上手さを示している指標の一つになっていると考えても良いと思います。

 そしてゴロとフライは全くの同数、同率。器用なことをしたものです。通算でもほぼ同数が出ていますので、きっとまぁいつも通りだったのでしょう。問題はここからです。HR/FBがたったの6.9%。これも運要素だと言ってしまえばそれまでかもしれませんがちょっと低いと思います。10%弱くらいはせめて…。通算では8.2%あるので本来的にはもう少し本塁打を打つ能力が高そうです。

 さらに問題なのがIFFB…内野フライの割合です。全フライのうち約1/5に当たる19.8%が内野フライです。今まではずっと半分以下の一桁ですから完全にポップフライ病にかかっていることが分かると思います。このポップフライ病を直すのが急務でしょう。…なんか巨人の坂本のアナリシスみたくなってきたな…

 原因としてはしょーん君の速球への対応の悪さがあると思います。今年の傾向で見るとチェンジアップやカーブと言った遅い球はよく打てていて、カッターやファストボールは平均を下回る対応です。となると、やはり球に当てても飛んでくれないでゆるいゴロや内野フライが増加しますからね。速球に対応できないとなれば投手はこれほど楽なことは無いですよね…。大丈夫かな、しょーん…。

 という訳で割と長いこと見てきましたが、どうやらプロスペクト時代の長打力は…というか長打力だけが無くなってしまったように見えますね。三振が多いのは変わってませんから。

 ただこのまま典型的AAAA選手だったりユーティリティーで終わってしまうのは残念すぎます。どうせならZobのように打てて走れて守れるユーティリティーになって欲しいです。

 つー訳で長くなりましたので今日はこの辺で