Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

Jake McGee 変化球は暗中模索? ~あなたは茂作さんではありませんか?~

 のっけからしょうもないギャグから入ってしまいました。Aren’t you Mosaku?No, I’m Kefir。そんな訳で(そんなわけで、だよ。そんなやくで、じゃないよ。)今日のターゲットはTBのクローザー、Jake McGee投手です。ちなみに彼のスペルはMcGeeでマギー、楽天にいて、今はSFのマギーはMcGehee。気を付けないといけません。

 あ、ついでに2つ程前のForsytheの記事もタイトルをしょうもない古典的なギャグに変更しといたので気になったって人だけ見といてください。

 では早速成績から見ていきましょう。

□01

 昨年はあまりにもBalfourがふがいない成績だったため、とうとうクローザーの地位にまで上り詰めました…が、その途端に崩れた印象がちらほら。最終的にはキャリアハイの73登板71.1IP5勝19セーブをマークし、これまたキャリアハイの2.6WARでした。リリーフでこれだけ記録してくれりゃ御の字です。え?毎年5勝してる?まぁまぁキャリアハイ(タイ)なのは変わりません。

□02

 13年にやや不調?といった成績でしたが14年シーズンは完全に持ち直しましたね。被本塁打は減り、奪三振は増え、与四球は減りました。NPBファンのみなさん大好きななんちゃってSABR指標WHIPもまたいい感じの水準に戻ってきました。

□03

 OPSで見ても12年シーズンの様な素晴らしい数字になっています。そもそも被OPSが.500を切ってる時点で打者は相当しんどい思いをすると思います。

□04

 じゃあ彼の本来の実力は?というと、やはり奪三振力は素晴らしいものがあります。基本的に奪三振率で10を期待できる選手など、そうそういるものではありません。また、与四球率も及第点レベルをクリアするようになり、かなり信頼のおける救援投手になりました。

 K/BBは奪三振率の高さもあってかなり良いものがあります。13年も悪かったとはいえ3.41を記録していますし、12年や14年は5を超える立派な数字を残しています。

 逆に気になる点としては球数が多いこと。イニング当たりの投球数(P/IN)や打者当たりの投球数(P/TBF)は比較的多め。奪三振系の打者であること、中継ぎ投手であることなどから大きな問題にはならないと思う方もいるかと思いますが、印象論で申し訳ないですけど、空振りを獲るのが苦手で、結構粘られるという印象があります。実際数字を見るとそんなに悪くなく、平均以上の結果は残しているのですが、ただ実際、スイング率は高いものになっています。

□05

 FIP、xFIP、ERAを比較してみましょう。なんとなくですがFIPとERAが連動していてxFIPとは逆の傾向を示しているような…。HR/FBがきちんと防御率に反映しきれていない感じですね。もっともこれは純粋にサンプル数の問題でしかないですけど。ここに記載のLuckはERA-xFIPです。実際に求められる成績と比較してどれくらいの防御率=失点する割合になったかを見てみます。通算ではほぼ同じような数字になっていますが、単年は大きく振れ回っています。そういう投手なので実際の実力を見えなくしてしまっているのだとは思います。が、13年はxFIPも12年や14年に比較して高い値ですので、実力を示す数字もやや不調だったこと(あるいは12年、14年が好調だったこと)が分かります。

□06

 続いてLOB%とHR/FBの確認。HR/FBは結構派手に振れていますが、通算はリーグ平均レベルに落ち着いています。ERAでもそうでしたが、基本的にそういう選手だと言えるかもしれませんし、そもそも中継ぎでサンプル数も先発の1/3程度ですから限界はあります。逆にLOB%は基本的にずっと高い数字を保ってきました。これもkLOB%との比較(Luck:LOB%-kLOB%)をしてみますと、確かにプラスの数字(幸運)を示すことも多いですが、13年はマイナス、12年も誤差は1%未満ですから、奪三振が多いというメリットを最大限活かせている、と言うことができると思います。kLOB%についてもっと詳しく知りたい方は下のジャンルからkLOB%っぽい物を選ぶか、もしくは以下のリンクを参照してくださいね。

(参考:投手の運・不運について LOB%を再考する)

(参考:マー君の実力はどんなものなのか)

(参考:ピンチに強い投手は三振が取れるかどうかについての考察)

□07

 続いて打球傾向について調べてみましょう。まずゴロ系かフライ系かと言われると、一貫してません。12年はゴロ系と言える数字ですが11年や14年はフライ系です。どうしたものか。LD%は20%をマークさせないレベルで、さらにフライが多いのですが、結局大体リーグ平均レベルに落ち着きそうです。一方BABIPは基本的には低めに出ていて、xBABIPと比べてみる(Luck:BABIP-xBABIP)とやや幸運が多い投手と言えそうですが、ここ2年は極々普通の値ではあります。むしろ12年はBABIP的にも非常に恵まれていたと言えるでしょう。

□08

□09

 さて、ようやくタイトルの内容に入れます。McGeeは基本的にまっすぐで押していける本格派の左腕投手です。何せ速球の平均球速が96mph超=約155㎞/hで、速球が全投球に占める割合もここ2年は9割を超えていますから、これに異論はないでしょう。一方で不安なのが変化球の方です。MLBデビュー当初はスライダーとチェンジアップを良く使っていました。が、そこまで大きい変化ではなく、むしろ速球の引き立て役、というイメージでしかありませんでした。これが13年にはカッターのみ、そして14年はカーブのみという構成に変化しています。また、いずれの変化球もMLBの平均を下回る様な成績しか残せていませんし、本当に速球に頼り切るような投球になってしまっているのです。そのため打者もはっきりと速球だけを待てばよいという感じになりますから、どうしてもストライクゾーンの出し入れ等、球数の増える手段に頼らざるを得なくなる訳です。その結果が投球数が多いような印象につながっていると言えるでしょう。また、色々試してもどれもしっくりこない感じがあるのでしょう。

 それにしてもほとんど速球のみで奪三振率11.36を記録している彼は化け物の一人じゃないかとも思います。相当すごいことだと言えると思いますがいかがでしょう。が、ここからさらにもう一段、上の実力を得るために、一つ得意な変化球ができると良いなぁと思います。KimbrelのカーブやChapmanのスライダーの様に。。。いや、本当に速球だけで勝負出来たらカッコいいですけど、Riveraだってカッターだからできたことで、本当にファストボールだけでとなると…厳しい。

 そんな訳で彼は今シーズンはどのような成績を残してくれるでしょうか。今回は前回からちょっとだけ改良がなされた投手成績予想システムseriseri Ver1.1(と言う名のただのexcelの計算機)で計算してみました。結果はこんな感じ。

73試合登板70イニング 86奪三振17四球 ERA3.60 FIP2.77 xFIP2.55

 実際よりもちょっとだけ運が悪い(xFIPよりもERAが悪い)と言う結果が出てきました。確かに運的にはこういう感じになってもおかしくないとは思います。逆にFIP2.77、xFIP2.55、K/9=11.06はかなり良い数字じゃないかと思いますし、多少失点しても十分すぎる成績と言えるのではないでしょうか。頑張れMcGee!!!

 …地味に中継ぎ投手の成績予想は初めてですね。何と言っても予想がつかないくらい成績が振れるので、どうも精度が上がらない印象で。

☆本日のおまけ

 最近OODAループをスポーツに応用できないかってことをまじめに考えたりしています。OODAループ(うーだるーぷって読みます)ってなんじゃいって思ったら適度にググってください。大体誤った方法が書かれています。円で描かれてたり、PDCAサイクルといっしょくたに書かれているものは間違いです。あと、ループの高速回転しないとね、で止まってるものは大方誤りです。高速回転するためには何が必要か、まで書いていないと片手落ちどころか諸手落ち、トルソー状態なので(笑)基本的には脊髄反射みたいな観察からの概念化をすることが高速回転の方法だと認識しています。日本語だとミリタリー系の夕撃旅団・改というHPがほとんど唯一正しく書かれているそうです。ここはとても丁寧に書かれているので本気でOODAループを知りたい人はお勧めです。野球やアメフトと言った都度都度状況を整理するスポーツに関してはOODAループの高速回転による攻撃的な用法は難しく(限定的であり)、むしろ状況を概念化し、処理速度を上げるという消極的用法でしかできないという感じがしますが、サッカーなんかの止まらないフィールドスポーツ系なんかはめちゃくちゃ使えそうなものだと思うんですよね。

 日本代表が遅い遅いなんて言葉、聞きますが、決して選手の足が遅いとは思いません。じゃあなんで遅いのって言ったら多分このOODAループを回すのが遅いのではないかと言う考え方を持っています。逐一状況を観察して、状況を判断して、方向性を決定し、実行する、と言うループをわざわざやっていればそりゃあ遅くなるに決まっています。そこをある種独断専行を入れる、チーム全体で共有化したい(している)概念を遂行しようとしない、という形があっても良いのではないかと思います。それによって相手に多くの情報を与え、混乱させ、行動を麻痺させる、と言う様な感じ(アメフトで言うところのLBをフリーズさせるようなイメージ)が重要なのかなぁと。サッカーはド素人なのでわからないですけど、ね。良く言う数的有利って奴も、多くの選手が動くから情報の洪水化がおこって守備陣が混乱する、と言うことが目的な訳で、いくら数的有利でもみんなが同じような目的意識での動きをしたらその時点で相手は守備がしやすいですよね。純粋にマークが外れやすい以上の意味もあると思います、数的有利って。逆にカウンター喰らって失点する様なシチュエーションで、こっちのが人数多くてもあっさり決められる様な事、ありますけど、それは結果相手の動きを観察して、状況を判断して、方向性を決定し、実行している間に、相手は概念化された動き(カウンターなんでやることはシンプルだからね)でループを高速回転させ、守備が実行している間にもう次の行動している様な状況になる、と言う説明をすると簡単にできそうです。

 って言うことを言いたいんだけど、きっちり説明しきれない自分が歯がゆいっちゃあ歯がゆいですね。サッカー、あんまり観ないから。。。

 …おまけ、長い(笑)