【連載】フライボールレボリューションの損益分岐 ~寄り道~
本記事は連載の中の1記事です。記事単体で読んでもわかるようにしてありますが、連載を通して読みたい方は、下記リンク先の目次から読んでいただければと思います。
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/seriseri/article/283
(目的)
連載用に記事を書いていてら面白いことを見つけたけれども直接本論に関係なさそうなので、ちょっと紹介していこうと思ったので、書いてみる。前のスタイルなので読みにくいと思うが、別に勝手に自己満足したいだけの記事なので良しとする。
(方法)
今回はパスらせてくだしあ。
(結果)
これも今回はパス。つらつらと語りまっせ。と思ったけど、これだけ載せますわ。各打球傾向のリーグ全体の傾向
□01 FB。本記事では全部青で表示
□02 LD。本記事では全部緑で表示
□03 GB。本記事では噛ませ犬全部赤で表示
(考察)
まずはこういうの気づいちゃったのです。
□04
各打球のOPSを並べたものです。まず気づくのが緑(LD)。02年から一貫して右肩下がりでどんどん下がっています。02年はOPS1.801もありましたが、今は1.565でしかありません。わずかな差ではありますが、下がり続けているのが気になりますね。
もう一つ気づくのが青(FB)。02年時はOPS.737、03年では.704で底を打ちましたが、その後.800台を維持していました。が、15年16年、それこそテーマにしているフライボールレボリューションの走りと共に.891、.950と一気に上昇してきました。これは何かありそうですね。
□05
ついでなのでスラッシュライン3点セットも見ていきましょうね。OPSの中身を分解する感じ。まずは打率。ここで見えるのが、やっぱりLDが徐々に下がっていること。逆に05年以降、FBに大きな変動はなく、GBはほぼ変化なしです。
古の時代、フライよりもゴロの方が打撃では価値が高かったそうな。そのころは打率なる指標で、選手が評価されていたそうな。この表を見ればわかる通り、ゴロはフライよりも少しではあるが、打率が高い。そういうことだったんだろうなぁ。。。
□06
OBPは打率と一緒なので別にいうこと無いや。
□07
SLGを見せる前についでにこれ。みんな大好きBABIP。個人的にばびっぷって呼び方は好きじゃない。べいびっぷならまだわかるけどさ。BABIPで比較するとフライは極端に低い数字であり、それは15年以降も変動が無い。けど実は02年03年はもっと低い。LDは下降傾向が続いている。これ、本当なんなんでしょうね。
古の時代、まだ人々の評価が打率で決まっていたころ。フライを打つことは悪とされていた。なぜならフライは打率が低くなるからだ。ホームランなんて狙って出るものではない。であれば転がした方がまだ打率が高い。そう、「MLBほどのパワーが無ければ、ゴロの方がフライよりも打率は高くなりやすい」のである。
□08
はい、お待たせしました。SLG。見ればわかる通りまずは15年16年の青が注目ですね。明確に強烈な伸びを示していて、先ほどのOPSの上昇分はここで話がつきます。FBの長打力が明確に伸びているのがわかります。逆に緑色、LDがきちんと右肩下がりで、LDはBABIPも下げ、さらにパワー面でも数字が下がっていますね。
[カッコ内な明確な根拠がない想像でしか話せないものですが、思ったこと。このLD%の下げ方は明らかに何らかの意思を感じます。とにかく毎年少しずつ下がっているのです。特に11年くらいにSLGもOBPもOPSもカクンと少しですが、下げているのです。これはやっぱりシフトを強く敷いていたことが原因になるんでしょうか。GBもそうですが、強く引っ張ったLDには殊の外よく効きそうですからね、シフト。]
で、まだ終わらないんですよ、話したいこと。シフトの話で終わらないんですよ。
□09
□10
wRCとHR%(HR/FB、HR/LD、HR/GB)です。まぁFBR(フライボールレボリューション)の事は見ればわかるから放置しといて。注目すべきは02年~05年です。前にも話したと思うんですが、これで見るとあまりにも顕著に出てきたので。02-05年の間にMLBでは何が起こったかというと、薬物禁止規程が作られ、施行されました。04年にルール違反となり、05年に三審制が敷かれました。その結果何が起こったか。LDのwRCが急降下し、代わりにFBが急上昇しました。HR%は変わらんと思えますが、LDのHR%がガクッと落ちています。現在は大体0.4~0.7%というHR/LDですが、ピークの03年には2.28%もの値を記録しています。明確にLDが野手の間を抜けて長打になったり、本塁打になったりが減っているのです。対策としてボールを打ち上げるようになったりして、04年あたりからFBがちょこっと上昇した感じですかね(今ほどではない)。
これだけ見てもどれほどの効果を今の禁止薬物がリーグ全体に蔓延していたがわかるし、それだけ効果があるなら、今の年俸の事も考えて、手を出す人間が出てきてしまうのかもしれません。マイナーでくすぶってただけが、MLBでオールスター級になってFAすれば、生涯年俸何倍だという話ですし。こういう辺りの効果があるのかなぁと確証はないまでも思う次第です。
ただ、このステロイド時代が終わり、次に2010年あたりの投手の時代が始まり、三振の価値が見直されて増えてきた対策としても今度はフライボールレボリューションが起こる。こういうのは見ていて本当に楽しいし、あとから追認しても面白いですね。
(まとめ)
とりとめない話しかしてないからまとめない。と思ったけど、これだけ。
・ステロイド時代の終焉と共にポストステロイド時代/SABRの時代として分析が進み、投手の時代が来た…のかもしれない。
・それに伴ってLDの期待値が下がり、FBの期待値が上がったことから、さらにフライボールレボリューションが現れた…のかもしれない。
・例えば02年03年のような期待されるOPSの差があったら、わざわざフライを狙って打とうとは思わない…かもしれない。
まぁ確証は無いし、つらつら書き綴っただけなので、本当にとりとめもなく、どうしようもない記事。
ってことで今日はここまで。
☆本日のおまけ その1
広島の丸が、WARで評価高いみたいな記事みかけました。まぁ彼はセンターを上手に守れるJoey Vottoなのでしょうがないです(笑)多分キャップをコッソリ入れ替えて使っても気づかれないよ。
☆本日のおまけ その2
外国人枠撤廃についてHOUの打撃コーチ、アロンゾ・パウエルが言及した点について。
私は賛成ですけどね。一つは勝利という目的のために、効率的でドライな方法がより多く持ち込まれると考えられる点。勝利を目指すためには何が効率的なのかというのをより考えるようになり、金銭面でのよりシビアな評価がなされるようになるでしょう。高級な外国人選手が増えるので。
もう一つは日本という世界でもトップクラスの野球先進国が、野球マイナー国を引っ張るチャンスを加速させる点。例えばイランとかパキスタンとかあるいは東欧、アフリカ、中南米諸国のようなマイナーな国から有望な選手が出た場合、日本でプレーするチャンスがより広く与えられます。育成のための外国人選手という広島のような手法が広がります。
最後に、やはりMLBに対抗するためにも、例えば各チームの戦力均衡や、選手の世界を股にかけた流動性の高まりが発生するため、現状のなぁなぁな、とにかく空気の読みあいとなっているシステムがより洗練され、野球が面白くなる可能性を秘めていると感じる点。
これだけがパッと思い浮かぶ以上、私は外国人枠はさっさと撤廃してもらっても良いと思うのです。
☆本日のおまけ その3
フライボールレボリューションを究極まで突き詰めるとこうなっちゃうんじゃね?という遊びの結果(昔やった自分の記事だが)。
H2不動の捕手 野田敦を科学する