Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

今更ながらの日本人打者への考察

 さて、オープン戦も続々と始まりましたね。今日は神奈川も暖かく、球春♪という感じですね。

 ちなみにこのブログはニュース性を持たせるつもりは一切ありませんので速報とかは致しません。

 今日の本題はMLBの日本人について。松井決まらないなぁとか思いながらふと考えていたのですが、松井はMLBに移籍した当初、なかなか本塁打が出ず、移籍前50本塁打であったのが16本塁打まで減少したことを思い出しました。MLB特有の2シームに苦労して、やたらとゴロを打ってゴロキングなんて言われていましたね。このあたりは記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。

 松井に限らず日本人選手は全員がNPB最終年よりもMLB1年目の方が本塁打数が減少していることはよく指摘されるポイントです。

 今年も2人のNPB出身の野手がMLBへ移籍しました。川崎も青木もどちらもパワーヒッターではないですが、逆にただでさえ少ない本塁打MLBではさらに減ってしまうことが予想されるのではないでしょうか。

 ところが当然リーグ間の対応力は個人差があるもので、例えば城島なんかはあまり本塁打も減少せず、それどころか新人捕手の中ではAL歴代最多安打等、打撃に関しては相当良い成績をたたき出していました。

 ですので日本人野手にはどのような本塁打の減少に関する傾向があるのかを見ていきたいと思います。使い古された議論ではありますが。という訳でこちらをごらんください。(基準はNPB最終年、及びMLB初年が共に200打席超)

名前 打席数 本塁打 本塁打率 打席数 本塁打 本塁打本塁打率比

松井秀 623 50 12.46 695 16 43.44 28.68%

福留 348 13 26.77 590 10 59.00 45.37%

イチロー 459 12 38.25 738 8 92.25 41.46%

岩村 621 32 19.41 559 7 79.86 24.30%

               

城島 463 24 19.29 542 18 30.11 64.07%

井口 574 24 23.92 581 15 38.73 61.75%

新庄 549 28 19.61 438 10 43.80 44.77%

               

松井稼 655 33 19.85 509 7 72.71 27.30%

西岡 692 11 62.91 240 0 #DIV/0! #DIV/0!

上が右投げ左打ちの選手、中段が右投げ右打ちの選手、下段が右投げスイッチの人。

また左側がNPB最終年の成績、右がMLB1年目の成績、本塁打1本当たりの打席数で見ています。で、それが実際に何パーセントに下落したかを見たのが一番右側の本塁打率比です。

 さて、見てみると最高値はやはり打撃好調だった城島の64%、続いて井口の62%弱。西岡は本塁打0だったので数値化はできませんが他にW松井、岩村が30%を切って日本時代の大体1/4程度の本塁打しか打てなかったことがわかります。

 サンプル数が少ないので一概にはいえませんが右投げ右打ちの打者はより(パワー面での)対応力が高く逆にスイッチや右投げ左打ちの打者はパワー面でのパフォーマンスが大幅に落ちている傾向が見受けられると思います。

 右投げ右打ちの打者では最低が新庄の45%弱であるのに対してそれ以外の選手ではあまり変わらない福留の45%強が最高です。

これらのデータから見受けられる傾向が怒る理由を考察してみるます。

まず右投げ左打ちの選手は元々が右利きであるため、一般的に右手の方が力が強く、逆に左手の方が弱くなっています。このため、インパクトの際にバットでいわゆる「押し込む」力が弱くなります。つまり体に近いポイントで打つことが苦手となる訳です。特に少しだけ芯を外した打球に対しての弱さがあるかと思います。また、手元で押し込めないために外角、内角どちらにも脆さがありますし、手元で動く2シームやカッター等には元々見たこともないことも相まって弱さ露呈したのでしょう。前述の外角球に関して追加すると、多いのは右投手。右投手の2シームは4シームとあまり変わらない球速で、いわゆるシュートやシンカーの回転のものが多く見受けられます。つまり左打者にしてみると高速で外に逃げながら落ちる球になる訳で、特に左手の押し込みが必要になります。そのために強い打球が減る=HRが減るという減少につながったものと思われます。

 対して右投げ右打ちの打者に関してはきちんと利き手で押し込む動作ができること、さらに左投手が相対的に少なく、高速で逃げながら落ちる球との対戦機会が少ないことの2点が本塁打の減少が少ない点ではないでしょうか。もちろんMLBの公式球は当時のNPBの球よりも飛距離も出ないし、実力も高い選手が多いので本塁打は減少してはいますが。

 また、スイッチヒッターに関しては、どちらの打席であっても外角の2シームで逃げながら落ちる球と対戦しなくてはいけないのでより悲劇的な成績が待っていることになります。最も、日本ではスイッチヒッターというと軽打の選手が多いのも理由の一つとなりますが。

 という理由で利き手と逆の打席でのバッティングは不利になり、結果として本塁打の減少につながるのではないでしょうか。また左投げ左打ちの野手はNPB出身ではMLBにはいませんが、もし行けば大体日本時代の半分くらいの成績に落ち着くのではないでしょうか。具体的にはNPBで600打席で30本塁打であればフル出場700打席として23-4本塁打前後、という感じでしょう。

 また今年NPBからMLBに移籍した二人の野手に関してですが、川崎は655打席で1本塁打でしたので今までのレートを当てはめて1500-2000打席で1本塁打、青木は643打席で4本塁打でしたので400-550打席で1本塁打、という感じになると思います。つまり二人の本塁打を今年中に見るのは非常に厳しいのではないでしょうか。ま、今までのレートに当てはめると、ということなので必ずしもあたらないですが。