Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

スーパーサムは本当にスーパーな存在になれるのか

 さて、今日は試合もないのでのんびり。LAA-OAK戦とかどっちも應援できないし。。。それにしてもトラウトすごいねー。これでミギーとかに勝ってMVPとか獲っちゃったら。。。ウチのMooreも悪くはない成績なんですけどね、余計な四死球が…ぶつぶつ…マギーだって…ぶつぶつ…

 で、選手のアナリシスをしないって言ってましたが、BJ兄貴のアナリシスしちゃったし、それ以上に気になるこの方のアナリシスをしたいと思いまして。ずっとしたかったんだけどオフになると多分他の選手のアナリシスでいっぱいいっぱいになりかねないので。

 さて、ざっと解説。Sam Fuldは10歳で1型糖尿病(生活習慣と関係無い原因不明な方)を発症。しかし元巨人のガリクソン(MLBで162勝もしてるんですね!!!)と出会い勇気づけられたと言います。治ることはない病気ですので今もインスリン注射はしているはずです。その後大学は超がいくつもつく名門中の名門、スタンフォードに進学、04年にCHCから10巡目指名を受けて入団しました。小柄でパワーレスではありますがフェンスも地面も恐れない超絶守備と足の速さで外野の控えとしてのポジションは確立しました。10年オフにガーザをとのトレードでキャッチャーのシリノス、外野のガイヤー(いつ見てもギャグだ)、ショートの李学周、そして先発のクリス・アーチャーと共にTBへ移籍。しっかしこのトレードは大きかった。アーチャーは来年にも先発枠に食い込んできそうだし(誰をトレードで出す?)、李学周は伸び悩みながらも一応プロスペクトとして今もマイナーで頑張っている。ガイヤーやシリノスはバックアップとして活躍、んでサムですからね。

 11年のTBではサイクルヒットを通り過ぎちゃったり、空を飛んで守備をしたり、といったハッスルプレーでチームを鼓舞。後半は不調とジェニの昇格で出場試合数が伸びなかったとは言え序盤のTBを大きく支え、スーパーサムのあだ名をもらいました。今シーズンは手首を怪我して出遅れ、8月の復帰となりました。

 と言う訳で彼の成績を見ていき、彼が実際にスーパーになれる人材かどうかを検証していきます。メジャーデビューは07年ですがとりあえずコンスタントに出始めた09年以降の4年間の成績をまとめてみます。

  G PA H HR SB CS RBI BB K

9 65 115 29 1 2 1 2 17 10

10 19 31 4 0 0 0 3 3 5

11 105 346 74 3 20 8 27 32 49

12 33 81 24 0 7 2 5 5 11

  AVE OBP SLG OPS BB% K%

9 0.299 0.409 0.412 0.821 14.8% 8.7%

10 0.143 0.226 0.179 0.404 9.7% 16.1%

11 0.240 0.313 0.360 0.673 9.2% 14.2%

12 0.296 0.345 0.383 0.728 5.7% 12.6%

 さて、これを見てわかるとおり彼は全くレギュラーであった事が無いことがわかります。11年だけはレギュラーに近い出場ではありますが、それでもわずかに346打席。もっとも猫の目打線のTBではあれなんですけれどもね。

 このスタッツを見てまず気が向くのが盗塁とBBでしょうか。俊足の選手としても見劣りしないですねー。成功率がアレなのはちょっと気になるところではありますが、まぁ仕方が無いですね。大体盗塁成功率8割は中々クリアできません。そしてBB%は今年はまだ低いですが大体10%前後をマークできているので俊足の選手としては非常に良い傾向ですね。三振も多いですが、どうせ基本的には下位打線を任せる事を考えると投球数を増やす、カウントを深くするだけでも投手を疲労させるのでよいでしょうね。

 次を見てみると彼がさらに投手に嫌がらせをさせられる打者であることがわかります。

FB% GB% LD% GB/FB

9 28.2% 47.1% 24.7% 1.67

10 47.8% 43.5% 8.7% 0.91

11 33.2% 48.0% 18.8% 1.45

12 20.6% 49.2% 30.2% 2.38

 LD%は結構波がありますね。まぁサンプル数も少ないので。それ以上に特筆すべきはやはりGB%でしょう。ゴロが非常に多いのがわかると思います。今NYYでイチローが任されている役割と同じであると考えればわかりやすいかもしれません。そういう打者であるので塁に出るのも当然ながら、転がせば内野安打も増えますし、長打でなくても1塁にいれば投手にプレッシャーかけられる等良い事が増えるわけです。なのでFuldはどう見てもよくいる感じの俊足・守備系短距離打者という訳ですね。そのように見る限りでは理想的な選手にも見えます。

 さて、では彼は本当にスーパーになれるのか、と言うところを考えてみましょう。この議論において必要な前提として「スーパーな選手」って何か、ということですが、今回はゴールドグラブ賞シルバースラッガー賞を複数回受賞できる選手、もしくはASに複数回選ばれる選手、MVPを受賞する事ができる選手、またはコンテンダーとなるチームにおいて無くてはならない存在となれる事、とします。

 結論から言うと厳しいのが現実かと思います。

 一つ目の理由がそのタイプですね。走塁と守備での貢献が高いタイプの選手はバックアップとしても各チームに1人ずつはいるものでしょう。どうしても大砲タイプと違って契約は安価になりがちなのですが、今年のイチローや昨年のマイケル・ボーンの様にコンテンダーのラストピースとして重宝される事は間違いなくあるでしょう。

 次に年齢。彼は若そうに見えて1981年生まれ。今年で31歳になる選手です。今後武器であるスピードの上積みはまず考えられず、トレーニングによってかろうじてそれの劣化を遅らせるのが限界でしょう。薬を使わずに成長したらそれこそスーパーな存在です。

 ただし、未だに成長している面があるようにも見えます。ここ2年程GB/FBの上昇と共にLD%が上昇しているのです。つまり投球へのコンタクト能力が上昇していると考えても良いかもしれません。と言う事は今後仮にスピードが衰えてもそれなりの打撃力を維持もしくは向上させる事ができるのではないでしょうか。決して悪い事では無いと思います。ただやっぱりそうなるとパワーレスなのが気になりますよね。いくらパワーは後付け可能なものとは言えやっぱり元々の素質からするとちょっとパワーヒッターへの道は遠いのではないかと思います。6ftには全然足りない身長な訳ですし。

 と言う訳で、残念な事に、チームに絶対必要な互換不能な選手となる事は厳しそうですが、今後もコンテンダーで有り続けることを計画しているTBとしてはやっぱりチームにいて欲しい選手の一人ですね。

 さ、明日からBAL戦。一気に勝負に行きましょう!!!