Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

もっとも効率よく野手を打ち取る投手??

 さて、先日開発した新指標Pitch/Out、いかがだったでしょうか。ややIsoDに近いものの、IsoDだって低くても出塁率さえ(べらぼうに)高ければ一応ひっくり返せる指標であるということで個人的には気に入っております。

 という訳で今回はこれを投手に当てはめてみたいと思います。当然、野手に使ったら投手に使いたくなりますよね、誰しも。

 という訳でまずは見ていただきましょう。参考にP/PA(P/TBF)をつけてあります。また、当然投手としてはこの数字が小さい方が良い成績になります。

 さて、いかがでしょう。野手の場合は(143人と人数が多いのも有りますが)4.75-7.32と最上位と最下位で2.5を超える差が生まれていますが投手は約1.12と半分程度の差に留まっています。

 上位の顔ぶれはいかがでしょうか。トップはWARでは12位ながら昨年サイ・ヤング賞を獲得したナックルボーラーDickeyとなりました。一旦彼は置いておきましょう。ちょっとどころじゃなくナックルボーラーは面倒なので…。。。とはいえ彼が観測値として昨年一番効率よく打者を打ち取っていたのは事実の様ですが。そんなサイ・ヤング賞ナックルボーラーに続いたのがSan Diego PadresのClayton Richard。その値4.83。ちなみにWARはブービー賞の87番。そしてMIN Diamond(4.86)、CIN Bronson Arroyo(4.88)、ATL Tim Hudson(4.88)と続きます。

 彼らの成績を見てみると当然ともいえる一つのことが挙げられると思います。それは…

(左からP/O、K/9、BB/9、BABIP)

4.83 4.40 1.73 .272 (Richard)

4.86 4.68 1.61 .292 (Diamond)

4.88 5.75 1.56 .286 (Arroyo)

4.88 5.13 2.41 .270 (Hudson)

 当然と言えば当然の結果ではあるものの、まず四球が少ないこと。まるでBB/9コンテストを行っているかのような数字です。事実、ArroyoがBB/9が2位、Diamondが4位、Richardは8位に入っています。ところがもう一点、1位のLee、3位Blanton、5位Lohse、6位Milone、7位MilleyらはP/Oでは上位5人には入らないどころかMileyなどは54位と平凡な数字になっています。そこにもう一つの条件があるのでしょう。それは奪三振の少なさ。上位陣は皆、全然と言ってよいほど三振が取れていません。Richardに至っては4.40と壊滅的な数字で、これは実は全体ワースト2位。3位にはDiamond、6位にHudson、13位にArroyoとお馴染みのメンバーが下位にランクインしています。つまり、三振も四球も与えずにぽんぽんと「打たせて取る」ことができてるメンバーがこれの上位に入っている訳です。

 ここまで聞いて、おいちょっと待てよ、SABRは「打たせて取る」は否定しているはずだろ?と思われた方。その通りです。じゃあ?そう。BABIP(←私これ大好き)の出番です。上位のメンバーは皆BABIPも.300を切る「幸運に見舞われた方々」です。事実上トップのRichardも.272と全体でも16位の好成績。相手が勝手にアウトになってくれていた、という訳です。つまり結論としては三振が少なく、その分与四球も少ない、ポンポンストライクを取れる投球スタイルで、1打席当たりの球数が少なく、かつBABIPで幸運に恵まれた投手が強い指標。駄目じゃん。全然、投手の実力、測れてないじゃん!!!そういうことです。

 逆にWARで上位10人に入った投手たちのP/O順位を見てみると…

1位→45位 Verlander

2位→7位 F.Hernandez

3位→18位 Kershow

4位→58位 G.Gonzalez

5位→70位 Darvish

6位→6位 C.Lee

7位→41位 Sale

8位→43位 Price

9位→53位 Greinke

10位→13位 Sabathia

 ご覧の通り順位はばっらばら。しかもDarvishをはじめとしてやたら下位の人間が多いように思えます。それもそうでしょう。三振を取ると球数は増えます。球数が増えればアウトになってもP/Oでは悪い数字が出てきてしまいますから。その中でC.Leeはさすがのコントロールの良さで余計な球数の上昇を防いでいることが良くわかりますし、さすがという他ないでしょう。そしてそれ以上にすごいのはKing Felix。K/9=8.65、BABIP.308ながらも7位にランクイン。(どーせパークファクターって反論もあるのでしょうけれども)見た目以上にグラウンドを支配していたことがわかる結果でもあります。さすがとしか言いようがありません。

 というような感じで、実際は投手に活用することは非常に難しい指標だね、という結論で幕を下ろしたいと思います。