Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

David Priceに何が起こっているのか

 今日は3回にPriceが炎上、Wrightでも止められず、合計8失点というビッグイニングを差し出してしまいました。

 Priceはもう信用ができないレベルまで落ちてきてしまっています。正直言って現時点での信頼度は並みの先発投手以下ではないかとも思っています。昨年はサイ・ヤング賞まで受賞したMLBを代表するエース左腕に一体何が起こっているのでしょうか。ここまで残している数字を見ながら検証してみたいと思います。

 まずは基本的な数字を見ていきます。今年はまだ1/4程度の試合数となっています。勝ち星はまずは置いといて…一つ気になるのは被本塁打の数。すでに8本を打たれていて過去ワーストのペースです。また、失点数も多く、35失点に対して28自責、7点の差がすでについているのも気になる点の一つです。これはすでにキャリア最大の値となっていて当然縮まる値ではないです。彼の中に、エラー等のランナーが出たら気持ちが切れちゃっている、ともいえるのかもしれません。ここは本人は当然否定するでしょうけれども

 続いてSABRでも基本的な残した結果についてみていきます。この辺りで面白い事実が見えてきます。まずK/9=8.20これは好調だった2011-12年の数字より0.5ほど下がっている数字です。通算も少し割り込んだ数字となっていて、昨年、一昨年の様には三振が奪えていないことを示しています。しかしながらBB/9=2.22はキャリアでも最高の数字となっています。これによってK/BB=3.69もキャリアハイを目指せる数字となっています。今年の傾向としては三振も少ない代わりに与四球も減っている、と言えるかと思います。質自体はK/9が8を超え、K/BBが2.5を割り込んできたことによって相当高いものであるということが言えるでしょう。そのためFIP4.02はギリギリ及第点、そして本塁打の値を入れ込んだxFIP3.36はそこまで悪い数字ではなくなっています。

 しかしながらここからが残念なエリア。HR/9はキャリアワーストの1.37。BABIPもこれまたダントツでキャリアワースト、しかも初の3割オーバー、首位打者クラスの.338。WHIPも落第すれすれのキャリアワースト1.39。さらにLOB%62.7%もキャリアワーストで昨年リーグ首位だった81.1%と比較するとほぼ20%の下落です。その上HR/FB=16.7%はこれもキャリアワーストで標準を大きく上回ってしまっています。

 ここから導き出せる結論は一つだけ。Priceはここまでめっちゃくちゃ不運であるということ。選手が実力で何とかできる面に関してはそれなりの成績を残しておきながら「運」の要素が強いとされるBABIP、LOB%、HR/FBがいずれもリーグでも悲しくなる程の低迷を見せており、そのためPriceが一見不調であるように見えています。

 こういった数字を見てみましょう。昨年ほどではないもののGB/FBは1.5を超える値が出ていて、そこそこゴロを打たせられていることもわかります。しかしながら、LD%が過去最悪の数字になっています。以前考察したようにLD%とBABIPはそれなりに相関があると言えます。全体的にPriceの球が以前より捉えやすくなっているともいえるかもしれません。このため、一概にPriceが不運であるとは言い切れないかもしれません。

 ではこの数字をご覧ください。このブログでは扱ったことがなかったPitch f/xによるストライクゾーン内外のスイング率とコンタクト率です。これを見るとわずかながらスイングされ、そしてコンタクトされる率が例年よりも上昇していることがわかります。ここからも彼の投球が今までよりも見やすい、そして捉えやすいという結果にもなるかと思います。LD%やコンタクト率単体の指標では見えてきませんが、いくつかの指標を組み合わせて見ることでより物事の本質に近づけることの一つの例ではあるでしょう。

 ではPriceになぜこのような結果が出てきてしまっているのか。その答えはわかりません。純粋に調子が悪いのかもしれませんし、夏場にピークを持っていくための調整不足なのかもしれません。考えたくはありませんが怪我持ちでどこかをかばっているのかもしれません。そこはわからないのですが、これを見ると今までの打たれやすくなっているPriceの理由が見て取れそうです。

 ご覧の通り、各変化球のバランスが良くなっているのですが、球速を見ると速球だけが2mphほど低下していて、その分投球率も減っています。確実とは言えないもののこの速球の球速低下に今年のPriceの不調を求めても問題は無いでしょう。事実、今年唯一の勝ち星を挙げた日は94-96mphの速球が決まってましたし。また、逆に93mph以下だとどうも球がお辞儀するようで(物理の法則通りですね)、低目の球がボール球の判定を受けます。その結果、高めで勝負→痛打というパターンも見受けられます。やはり、本格派Priceは速球が彼の投球の要なのでしょう。

参考に過去のPriceに関する考察記事をリンクしておきます。

2012/11/16CY賞はPriceその価値はPriceless

2012/10/2サイ・ヤング賞 行けるか??

2011/11/7不完全燃焼のエース D.Priceを考える