Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

混乱している変化球への名称に対して整理を試みる

 いやー敵地でSweepですよ。しかも夕暮れのカムデンは本当に綺麗な球場なんですよねー。一度ダグアウトまで入ってみましたが、これほど美しい球場は他にないのではないか、という気がしました。この球場だけでBALファンになる理由にもなります。

 PriceはとうとうDL入りしてしまいましたが、そこは球団記録を塗り替えてくれたMooreにお任せを、という感じですかね。もっとも投手陣以上に今すごいことになっているのは打線の方ですが。。。(ここ一か月はMLBトップの得点だそうです。タンパのくせに。)

 さて、今日の本題です。変化球の名称に対して整理を試みる実験です。あくまで実験かつ、私自身の解釈が多分に含まれております。必ずしも正しいとは言い切れないことも多いでしょう。もちろん誤りがあった場合に関してはご指摘ください。

 現在、世の中には個人が勝手に名づけている変化球も含めて星の数ほどの変化球があり(小生が中二病を患っていた時に投げていたスプリッターっぽい変化球を「4シーム改Ⅱ」と名付けるなど)、またそれは統一された定義が無いのが現状です。それに対して分類をしてみちゃおうというあまりにも大それた企画です。

 まず、変化球を大きく二つに分けてみます。こんな感じで。

グループ1:

チェンジアップ カーブ スクリュー シンカーなど

グループ2:

スプリッター フォーク 2シームファストボール 4シームファストボール ナックル パームなど

 この2グループの違いについてわかりますでしょうか。グループ1に属する球種に関しては「投げた結果」から名づけられた変化球です。チェンジアップは相手のタイミングを(前方向に)ずらすからチェンジアップ(握り・曲りは関係ない)、曲がったからカーブ(これも握りはさまざま)。投手から見て右回転している変化球だからスクリュー。沈んだからシンカー、などですね。これ以外にももともとのスライダー(横滑りしたから)、イーファスピッチ(スローボールのこと、Van Robaysが命名)などが含まれても構わないでしょう。また、球種がきちんと分析できない時にMLBで解説者が「Breaking Ball」というのも「投げた結果」から名前がついたものです。つまりブレーキがかかって落ちたから、ということです。

 次にグループ2に分類されている球種は何かというと、これは「投げ方・握り方」からついた球種です。フォークやスプリッターは結果としてボールに回転を与えにくいことから一般的なバックスピンの効いたボールに比べると重力に従って「落ちる」様に見えますが、必ずしも「落ちるとは限りません」が、「握りがフォークで刺したような形」ならばフォークと呼んで差支えないでしょう。2シーム・4シーム等に至っては実際に人によって動きは全く異なっているのはMLBを見ると良くわかります。

 ナックル(拳)もパーム(掌)も握りから名がつけられて、その変化の仕方は後付になっています。

 この2つのグループが(日米問わず)ごちゃごちゃに混ざり合ってしまっていることが混乱を引き起こしている最大の理由なのではないでしょうか。例えばナックルカーブ(ナックルグリップからカーブする)。本来は結果のカーブと握り方(ナックル)とどっちで読んでも良いはずが、「ナックル」とすると無回転の球種の総称になってしまった(グループ2から1に移ってしまった)からナックルなんだけどカーブしてる物をナックルカーブと呼ぶことになるのです。

 逆のパターンが縦のスライダー(スライダーの投げ方なのに縦に変化した)でしょうか。本来スライダーとはその名の通り「(横)滑り」する変化球のことで、あくまで「結果」です。ところが、このスライダーの「投げ方」をすると、縦に落ちる回転がかかる人がいる。それを縦のスライダーなどと呼ぶわけですがこれはスライダーという結果を表す変化球の「投げ方」を基準にしてしまった(グループ1から2に移ってしまった)から「ピンクの白衣」くらい矛盾していることになるのです。

 さらに日本ではこの変化球の名称問題に対してさらに混乱を招いたのがコナミの大人気野球ゲーム「実況パワフルプロ野球」シリーズでしょう。日本の野球少年はほぼ全員が一度は見たことがあるであろう二頭身のキャラクターで野球を行うゲームです。

 有名な話ではありますが、例えば「スクリュー」に関して。MLBで歴代3位となる373勝を挙げたChristy Mathewson(右投げ右打ち)が投げていた「フェードアウェー」という変化球が原型となっており、スクリューの名称は投手から見て右回転の回転をしている変化球であることが名前の由来となっています。

 ところがパワプロシリーズでは基本的に「左投手のシンカー(利き手の方向に曲がりながら落ちる球種)」とされており、左投手専門の球種と理解している人が多くいるでしょう。パワプロシリーズがあまりにも普及したために発生した問題とも言えます。

 このように、様々な要素が絡み合って、球種への名称が混乱しており、非常に複雑な関係になっているでしょう。また、最近の科学の発展によってさまざまな変化球が生まれ、近い動きや握りの変化球の改良版・発展版となっているため、余計に混乱を生んでいることでしょう。また、時代の流れと共にその変化球の大まかなイメージも移り変わっていますから余計難しいです。

 今、私自身が最も興味を持っている変化球はいわゆるスプリットチェンジと呼ばれる球種。MLBだとLincecumやAlex Cobbが使用している球種です。変化は下方向に落ちる変化球です。そしてグリップはまるっきりフォークやスプリッターに近いのですが、特にLincecumなどは「チェンジアップ」と呼んでいます。理由はあくまで推測でしかないのですが、一つはチェンジアップ的な用法、つまり相手のタイミングを狂わせるように使っているから。もう一つはスプリッターやフォークがあまりにも肘を壊すという評判が立ち、そのイメージダウンを恐れてスプリッターの名前を使いたくないから。でもどんな名前つけても結果的にフォークだったら駄目じゃん、なんて思って今後の結果を注意してみている訳です。

 最後に、この記事で一切触れなかった内容についてちょこっとだけ記載すると、変化球を定義するために、回転の方向を考えれば良い、という方法があります。x軸、y軸、z軸の要素をそれぞれ角度で表せば変化球を定義できるかもしれません。しかしそれ自体が非常に困難(というか金がかかる)上に、いったい誰が決定権を有するのか、という疑問もありますし、握りから規定されてる変化球はいったいどうなる、という問題もあります。そういったことを考えつつ今日はおしまいにしたいと思います。

 今日は単純な試みなので一切結論は出すつもりはございません。全くとんでもなく混乱しているな、とだけ理解できました。