Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

どこか釈然としない、今回の薬物での出場停止

 大変ご無沙汰をしております。別に、ブログを書くつもりがなかったとかそういう訳じゃないのです。単にデータ取りまとめに時間がかかっておりまして。

 さて、では本題です。以前も本ブログで話題にした、バイオジェネシスの件についての私見を述べてみようと思います(基本的なスタンスは変わっていません。)。

 まず、状況を整理してみましょう。今年初めに、バイオジェネシスなる医療機関で経営者をしていたアンソニーボッシュ氏からの情報提供で、十数人に渡るMLB選手への主にパフォーマンス向上を目的とした禁止薬物の提供があったとのことが明るみに出ました。

 そして、本日付のニュースでそれらの選手が処分を受け入れることにした、とのことです。処分を受ける選手は以下の通りです。

 ・Alex Rodriguez(NYY):211試合(異議申し立てを行うため処分開始は未定)

 ・Ryan Braun(MIL):65試合

 ・Nelson Cruz(TEX):以下全員50試合

 ・Jhonny Peralta(DET)

 ・Everth Cabrera(SD)

 ・Fautino De Los Santos(SD)

 ・Francisco Cervelli(NYY)

 ・Fernando Martinez(NYY)

 ・Antonio Bastardo(PHI)

 ・Jesus Montero(SEA)

 ・Sergio Escalona(HOU)

 ・Jordany Valdespin(NYM)

 ・Cesar Puello(NYM)

 ・Jordan Norberto

 また、Melky Cabrera(TOR)、Bartolo Colon(OAK)、Yasmani Grandal(SD)は以前受けている50試合の出場停止が今回のバイオジェネシスの物であったことが確認され、処分を免れ、Gio Gonzalez(WAS)とDanny Valencia(BAL)は証拠が見つからなかったとのことで処分はありませんでした。

 この件に関して、まずA-Rodを除く16選手は言い逃れは出来ないでしょう。処分を受け入れたということで自白したと同様の扱いになりますから、まず間違いありません。A-Rod一人不服としていますが、さすがに彼も今回、処分は免れないのではないかと思います。

 しかしながら、私自身、この処分…というかUSAでの国民性もあると思うのですが、やや釈然としない物があります。その正体は、「実際に禁止薬物を摂取しているか否かに関わらず」処分を受け入れ、自分は間違ったことをした、と涙ながらに謝罪した方が、下手に抗議するよりもイメージも含めて得である、ということです。

 例えば、NYYのAndy Pettitteや現在はCLEのJason Giambiらはミッチェル・レポートやらなんやらで禁止薬物の使用が明らかにされ、それをいち早く認め、謝罪した経緯があり、(当時は罰則はありませんでしたし)彼らは今もプレーを続けています。それに対し、徹底抗戦してしまっているBarry Bondsなどは依然としてダーティなイメージをもたれ、契約を結ぶチームはありませんでした。

 Mleky CabreraやBartolo Colonも処分を受けたのちは(ダーティなイメージは払拭されないとは言え)普通にプレーをしています。それに対して、下手に徹底抗戦をしてしまうと、契約満了後はどこの球団も契約をしてくれないでしょう。仮に裁判となったら莫大な時間とお金がかかる上に、最強とも称されるMLBの顧問弁護士軍団との裁判となるため、非常に大変です。

 仮に無罪が認められてもその頃には2-3年以上が経過する可能性が高く、復帰へのハードルは非常に高いものがあるでしょう。スポーツこそ違いますが、大相撲の蒼国来関を見ればわかるでしょう。名古屋場所では西前頭15枚目で6勝9敗と負け越しをしてしまいました。さらに、無罪であったとしても、そういう疑いがかけられる時点でその選手に対しても非常にダーティなイメージが定着する上に、諦め悪い、といったマイナスイメージが上乗せされてしまうでしょう。

 であれば、50試合の出場停止で我慢した方がまだBetterであるという結論が導き出されても不思議ではありません。オフにFAとなるCruzなどはその典型でしょう。ここが全くもって釈然としない最大の点です。今回は特に検体等での客観的な証拠は無く、状況証拠→自白という流れですので、万が一禁止薬物を摂取してなくても、出場停止処分を受け入れた方がマシ、ということなのです。非常に悲しいことではありますが、スーパースターに対して悪意を持って証拠をねつ造できれば、最悪の場合、出場停止に追い込むことだって不可能ではないのです。禁止薬物に過敏になりすぎているがために起こり得る事例とも言えます。

 私はそんなMLBを観たい訳では無いです。とはいえ、今までが禁止薬物に対する扱いがずさんであったのも事実ですし、それが今や世界一とも言われるほどの厳しい世界になり、世間も含めて急速に浄化が進んでいるのも間違いないです。

 そのため、さらに浄化を進めるための試案を(僭越ながら)私から挙げさせてもらうと

 ・罰則の強化:

 今回はたった50試合の出場停止だったための事態ですから、強化は必須です。

 ・検査をより強化する:

 つい最近では上原が、WBCでもイチローが検査が多い、と嘆いてましたが、それでもやらないで再び薬物が蔓延する事よりも全員を監視し続けた方が良いと思います。検査の結果を公表する、というのもその一環として考えられるのではないでしょうか。

 ・罰則適用の慎重化:

 本当にその選手が罰則を犯したのか、という点に対して慎重に検討した上での適用をすべきでしょう(そして処分が決まるまで公表もしない)。特に今回の様な状況証拠による処分に関しては十分な調査が必要とされるかと思います。

 ・選手以外へのペナルティー

 全くMLB機構ができることではないので夢物語ではあるのですが、例えば法外な報酬を受け取って薬物を処方した医師等への処罰がないというのでは良くないでしょう。人間は弱いですから、誘惑の根源も断ち切る努力が必要でしょうね。。。

 という辺りで今日はおしまいにしようかと思います。

☆本日のおまけ

 TBは首位BOSと1ゲーム差。今後は同地区やLADといった同じような厳しいチームとの対戦が組まれているので、そこをいかに乗り切るかがALトップを争っている2チームの分かれ目になるでしょう。下手したらリーグトップなのに地区優勝を逃す、といったシナリオまであるかもしれません。TBには頑張ってほしいですね。こちらも目が離せません。