Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

Loneyと再契約の理由は??

 遅くなりましたがあけましておめでとうございます。本年も弊ブログ「Rayを釣りたくて」をよろしくお願い致します。今年こそはTBのワールドチャンピオンを願って應援していきたいと思います。

 さて、では新年一発目のターゲットはTBと3年21Mで再契約をしたJames Loneyとします。再生工場とも言われるTBにおいて再生した選手を翌年も再契約して残すことは非常に珍しいことです。ちょっと考えてみると放出したメンバーはBenoit、Keppinger、Kotchman、Sorianoと多数挙げられる一方、再契約した主力級は07年のPenaくらいでしかありません。また、TBの野手としては極めて高額と言える年平均$7Mという価格での契約も破格と言えます。

 その中でLoneyの昨年の成績の向上は12年に.269と低迷したBABIPが.326とプラス方向に大きく揺れ戻したためであり、来季の成績を心配する声が多数あります。確かに過去の例だとKeppingerは.280→.332→.269、Kotchmanは.229→.335→.233とTB在籍年にピークが来ております。また、BABIPが大体3割に収束することを考えれば急激なBABIPの上昇は、その後の急激な下降を伴うことは想像に難くありません。

 現地報道等を見ても、Loneyの確保は今後2年間の内野手の固定と、高い守備力の維持を目的としたもの、というのが多いです。確かにその面は大きくあるでしょう。Loneyの守備力の高さは折り紙つきですし、ZobさんLongoは言わずもがな、Escobarも相当な能力を持っています。正直全員がFielding Bible賞やGG賞を獲得しても不思議ではないレベルです。

 しかし、だからと言って1Bに守備専任選手を置くでしょうか?現在TBの攻撃陣ははっきり言ってそこまで高いレベルにはありません。LongoやZobさんはともかくとしてDHにJoyceが入ったり上位打線にしょーん君が入ったりする打線はいやらしさはたっぷりな一方、恒常的な破壊力などとは無縁です。となれば通常は1BやDHには攻撃に特化した選手を置きたいというところなのではないでしょうか。そこで守備専任打者を1Bに置くのはどうも納得がいきません。

 そんな訳で実は攻撃力が維持できる理由があるのではないかと思い、Loneyの成績を精査してみようと思った次第です。

 前置きが長くなりましたが見ていきましょう。

 積み上げ系の数字では10年以前の水準を取り戻しており、600を切る打席数ながら安打数はキャリア2番目、本塁打もキャリア2番目(タイ)の数字を残すことが出来ました。四球がややキャリア平均よりは少ないですがその分三振も少なくなっています。総合的な打撃指標wOBAでは.339とまずまず優秀な値であり、WAR2.7キャリアハイの数字をマークしました。これだけ見ても如何に13年の彼が充実したシーズンを送っていたかがわかるかと思います。

 率関係を見ても彼の強烈な印象を残したルーキーイヤーを除くとキャリアでも最も良い数字が出てきています。

 ここからが重要な点になります。彼はもともと中距離打者で高いLD%を誇る打者です。LD%が多いということは良い当たりの打球が多い=バットコントロールが良いということが出来ることは疑いようがないかと思います。また、フライよりもゴロが多く、そのため想定されるBABIP(=xBABIP)は通常よりも高い数字が算出されます。事実xBABIPは.318-.361と非常に高い水準で推移しています。また13年はLD%がさらに上昇したことによってキャリアハイの数字を記録しています。

 一方、実際に記録されたBABIPを見てみると12年がキャリアワーストの.269でxBABIPとの差は.065ですが、それ以外の年も07年以外はいずれもマイナスを示しています。13年もキャリアで2番目に悪い-0.035を記録しており、実はLoneyは「不運だった」と言える数字がはじき出されているのです。

 グラフを見ていただけると良くわかるかと思いますが、これまでのMLBでは非常に不運だったと言えるものになっており、しかも右肩下がりの「運が悪くなる一方」な成績でした。

 これが過去のKeppingerやKotchmanと明確に違っている点と言えます。参考に彼らの数字を記載します。記載した年は彼らがTBに所属した年とその前後1年です。

 彼らはいずれも好調/不調の年での打撃内容に大きな違いは無く、大幅にマイナスであった数字がTB在籍年にはプラスに転じ、再度下がるというわかりやすくしかも似ている形を描いています。一方でLoneyはTB在籍前年よりも上昇はしているものの、13年も数値はマイナスでした。

 さらにLoneyは過去数年にわたる長いマイナスの時期がありますので、それを考慮しても今後も数字の上昇の余地があり、なおかつそれを維持する根拠もあると言え、これが過去のKotchman、Keppingerとの差異であり、TBが再契約した根拠であると言るのではないでしょうか。なお、本項は完全に私の想像であり、必ずしも正しいとは言えないことをご了承ください。

 最後に私の作った(?)野手成績予測システムseriseri Ver1.3に初期値を定めて、今年の彼の成績を予想してみたいと思います。一応怪我せずにフルシーズンを戦い抜いた設定で見てみました。

 .314/.365/.426 OPS.791 wOBA.348 11HRとなりました。今年よりもちょっとだけ成績が向上しそうです。果たしてこれがどこまで本当の成績に近づくでしょうか。。。

本日のおまけ:

☆Priceはトレードされない??

 TBがPriceを「トレードしないといけない理由」は無く、当然要求は高くなり、なかなか相手が見つからない上に、そもそもPrice以上の価値のある選手は獲得できないのでは?という理由です。私は14年はPriceが怪物級の成績を残してくれると思っていますので一安心というところです。一方、Hanigan、Molina、Lobatonと捕手3人体制であり、こっちは人員過剰が不安。Lobatonがトレード候補とのことですが、果たして相手は見つかるのでしょうか。できれば中継ぎ、シチュエーショナルレフティとかが欲しいかなぁと。元々Priceとパッケージだったと思われるのでそこはちょっと戦略を誤ったか?とはいえマー君の所属が決まるまではまだ何とも言えませんが。。。また、これにより、TBは過去最高の年俸総額になりそうです。当初目指していた$50Mの1.5倍くらいにはなってしまいそうです。

☆Maddux、Glavine、Thomasが殿堂入り

 殿堂入り選手が発表になりました。殿堂入りの3名は文句なしです。おめでとうございます。一方、鉄板と思われたBiggioはまたも落選。ほんのわずか、足りませんでした。来年こそは、というところでしょう。15回目のMorrisは61.5%と数字を落し、涙を飲むことになりました。また、相変わらずBondsやSchilling、McGwireらいわゆる「ステロイドボーイズ」には厳しい判定が下されております。元TB戦士ですとMcGriffが11.8%、野茂さんが1.1%といずれも全くと言えるほど届かず。野茂さんは来年以降の権利を喪失しました。今後のベテランズ委員会で候補者になれれば、というところです。