Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

急激なパワーアップ!? Kevin Kiermaierの2015年はどうなる?

 昨日に引き続きTBの選手アナリシスと2015年の成績予想を続けたいと思います。今日のターゲットは驚くほどの俊足と、意外な長打力、そして期待通りの守備力を見せつけてTBの主力外野手になったKevin Kiermaier(←カタカナ表記が難しい)。昨季はチーム3位タイの10本塁打と2位のWAR3.8、そして1位の8三塁打を記録しました。一方で、打撃には明らかにムラがあり、集中力がある時は驚くほどの打撃力、あるいは走塁を見せる一方、そうではない時の打てなさはこれまた驚くほどです。この24歳の外野手は成績を維持あるいは向上させられるのか、それとも昨年はフロックだったのか、ここら辺を確認していきながら、今季の成績を予想してみようと思います。

 まずはいつも通り、これまでの成績の確認から。と言っても彼の成績は事実上1年分しかないのでマイナーの成績も一緒に載せようと思います。

 2010年にマイナーのキャリアをスタートさせ、2012年には一気にAAAまで駆け上がり、2013年は最終戦でとうとうMLB出場。2014年はMLBで108試合出場ときっちりと成長しています。また過去シーズン二桁本塁打は無かったにもかかわらず、14年はAAAで3HR、MLBで10HRと突如大爆発。マイナーで二桁経験無しでMLBでいきなり二桁本塁打と言うとTBファンはどうしても08年のZobさんを思い出してしまいますね。もっとも、Kiermaierはそこまでパワーを武器にしている選手ではなく、どちらかと言うとマイナー通算93盗塁(433試合)のスピードを武器にする選手ですね。

 気になるんはMLBでは四球数は増えないのに、三振数が増加しているように見えること。。。対応できてないんじゃないかとも思います。一方で守備の良さもあり、WARは3.8を記録。これは上々の数字でしょう。

 しかし、いわゆるスラッシュでは立派な数字を残しました。マイナーでも俊足好打タイプにしては十分すぎるほどの数字を残していますから、これくらいは、と思う人もいるのではないかと考えます。

 が、マイナー時代と比べると三振率は上昇し、四球率は下がっています。これを見るとMLBでの対応に苦慮していることが分かります。また三振率は高い一方でP/O、P/PAはいずれも低い値を出しています。つまり、待球策による三振率の上昇ではないと言え、つまり、バットにボールが当たらないだけであって、じっくり球を見る打者だとはこれだけでは言い切れないです。むしろ平均的な四球率に対して、高めの三振率であることが多く、その割に高いOPSは、割と強振することが多い打者だと言えるかもしれません。

 サンプルは少ないですが、かなりゴロ系の打者であることが分かります。また、LD%もそこまで高いとは言えません。一方でHR/FBは高い値を示していて、これが(サンプル数が少ないことによる)たまたま高めの数値が出ているのか、それとも本来の数字なのかは、これだけではわかりません。が、マイナーではこれだけ多くの本塁打が出ていないことから、かなり高めの数字が出ていると考えられるのではないかと思います。

 BABIP的には極々普通の数字か、やや運が良いくらい。もっともこれもサンプル数は少ないですからきちんとしたことは断言はできませんが、LD%が低いことが影響してそうです。

 ということで見てきましたが、ここまででは正直全くわからないのが実情です。これらから彼の実力を測って、さらに成績予測するのは非常に困難なものです。

 Kiermaier自身は、前半戦.310/.349/.576 8HRと非常に良い成績であった一方、後半は.220/.284/.335 2HRと言う数字で明確に後半に成績が悪化していると言えます。が、まぁこれで終わったらこのブログの存在価値が無いので、各月を取り出して確認し、どれくらいが彼の実力なのかを見ていきたいと思います。

 4月は出場数が少ないためはっきりとは言えませんが、5月6月は調子が良さそうです。本塁打数なんかが楽しいことになっています。一方で安打数を見れば8月以降の調子の崩れ方も見て取れます。

 スラッシュを確認するとその傾向がなおはっきりします。ある時はリーグ最強打者、ある時はリーグ最貧打者を言ったり来たりしています。が、5月あるいは6月は併せて三振率が高くなっていることにも注意してください。

 まぁこういったのを出したいから延々と語ってきた訳ですが、5,6月は予想通り、非常に高いLuckに恵まれています。一方で8月以降は不運の方向に進んでいた訳で、いずれの月も彼の実力を正確に表していたとは言い切れないと思います。

 ではどういったところから判断しようかというと、

 まずはこれ。四球率と三振率をグラフにしてみました。これを見るとどちらも月を経るごとに良化、つまりMLBへの対応が進んでいることが分かります。最後数か月上下しているのはこれくらいの幅で上下してもおかしくないことを示しているかと思います。三振率に関しては15-20%くらい、四球率は5-8%くらいが彼の本来の実力かと思われます。

 そしてこれ。打球の質です。一貫してゴロが多い、ゴロ系の打者であることが分かります。ざっくりとですが、ゴロが5割強、フライが3割、ライナーが2割弱と言うところでしょう。本当はここから如何にライナーの率を上げ(そして三振率を下げ)るかが課題だとは思います。

 つまり、昨年のKiermaierについて以下のことがいえると思います。

・パワーに関しては昨年ほどのパワーは期待できない

・ゴロ系の打者であり、左打ち・走力と相性は良い。

・月を経るごとにMLBに対応した。

・運は逆に悪くなっていった。

・LD%は決して高くなく、三振率も高い。ミートのうまい打者とは言えない。

・四球率は決して高くない。良くてもリーグ平均程度。三振率の高さと比べるとむしろ悪い。

 これらを踏まえて今年のKiermaierの成績をいつものアレに頼んで計算してみました。

(110試合450打席換算)

420打数100安打 本塁打6 四球30 三振83 二塁打19 三塁打9

.238/.289/.369 OPS.657 wOBA.288

 こんなもんか、という納得感と、この程度になってしまうのか、と言う残念感が同居する様な不思議なスタッツです。ただこれくらいの打者なんだという気持ちで彼を見ないと大きく失望するかもしれませんし、過剰に期待することは出来ないと思います。少なくとも現状ではDeJesusやジェニの方が格上と言えるでしょう。ただ、集中力を切らさずに全力で駆け抜ければ、良い方に期待を裏切ってくれるものと信じています。足も速いからBABIPは常にプラスをマークできる存在だと思いますし。