應援のための観戦なのか 及びその他小ネタ拾い
連載途中ですが、いくつか小ネタを拾っていきたいと思います。
まずは本題から。少し前に日米の應援スタイルについて色々考えてみました。それと共に何人かの友人と話したところ、どうやら日本でのスポーツ観戦は應援のためのスポーツ観戦というスタイルが多数派であるらしいことがわかってきました。それはプロ野球でも、サッカーでも、競技を超えて普遍的にみられる傾向といえます。私自身は周りに色んな考えを持っている人がいますし、それが普通のことだと思っていますので、日本人は~と言うような十把一絡げにしちゃうことは嫌いなのですが、多数派も存在する訳で、こういう人が目立つ、くらいの感じで読んでいただければと思います。
さて、この應援のためのスポーツ観戦は、自分の属するある団体とその他の対立構造で話すことでより際立ちます。これはナショナリズムのプロパガンダの手法の一つです。例えば政治家が、私は優秀であるから私が国政を引っ張る、などと言っても全く説得力はありませんが、我々日本人は優秀である、などというと急に説得力が出てくるのが不思議です。もちろんこの優秀と言うのは相対的な表現ですから、必然的にそれに劣る比較対象、あるいは、立ち向かうべき強大な比較対象が必要になるものです。
これが政治の問題だと大きな問題になってしまうのですが、同じことがスポーツ、あるいはスポーツ報道にもあるように感じます。つまり同じ日本人だから應援するスタイルです。これはもちろん野球に限らず、テニスの錦織選手やフィギュアスケートの羽入選手、浅田真央選手、サッカーの欧州でプレーしている面々や代表戦、オリンピック位でしか報道されないマイナースポーツ各種から果ては稀勢の里関まで、さまざまなスポーツで見かけます。私がよく観るスポーツでそれがほとんどないのはそもそも日本人選手がいないNFLくらいじゃないでしょうか。
それがそのスポーツへの興味の入り口となれば良いではないかという議論もよくみかけす。ゲームや漫画が、モチーフにしている歴史やそれぞれのテーマの入り口になるから悪ではなく善なる存在であるというのと全く同じだと感じます。
もちろんその理屈が成り立つこともあるでしょう。私自身、イチローのMLB移籍にともなってMLB報道が増え、その結果MLBファンとなった訳ですから、その理屈が成り立ち得ることは事実です。
ただしその可能性は非常に限定的だと言わざるを得ません。確かにマイナースポーツがある特定の選手の活躍により脚光を浴び、新たな世界が開けてそのスポーツにのめり込む人は少なくないでしょうが、多くは優秀な日本人選手とその他という対立構造から抜け出ることができてないと感じるからです。これは頑張っている日本人選手に自身を投影させて、これだけ日本人は優秀なのだ、と感じるのが目的になってしまっているからだと感じます。すごいのはイチローなり錦織選手なりそれぞれの個々人なはずですが。
要するに應援するための観戦というスタイルになっているということです。一方で、そのスポーツが好きでよりすごいプレーを見るのを楽しみにしている人たちもいます。その場合は贔屓のチームや選手がいたとしても、大体においてある程度はリーグやトーナメントを俯瞰して観ることができます。その結果、間違っても贔屓チームに直接メリットが無い国際試合を罰ゲームと発言したり、贔屓選手が負けたトーナメントを観るのを止めたりはあまりしないでしょう(熱意が違うのはあるだろうが)。
一概に良し悪しがある訳ではないです。ただスポーツ観戦がスポーツ應援になりがちだということをわかっていただきたいのです。
さて、そうなるとスポーツ應援の方が声は上げやすいです。應援席に仲間は大勢いますから、群集心理で普段できないようなこともやらかしちゃったり、あるいは不正を指摘したりできます。また、報道側としてみればその方がより人気が出ますから、売り上げにもつながります。結果、報道側もスポーツ應援的な記事が増えます。さらにその結果…という正のフィードバックが発生し続けることになります。
一方、スポーツ観戦なオタクな人びとは自分たちで勝手に情報を集めるようになりますから、細かい報道は必要なくなります。その結果、日本でのスポーツ報道はどうなるでしょうか。
こうなります。
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今日の時点で見ることができた過去1,000件のニュースを全件、4つのカテゴリーに分類しました。MLB/MiLBに所属する日本人が主語になるニュース、その他MLBに関連するニュース、MLBとは無関係な野球のニュース、そしてそもそも野球と関係ないニュースの4つです。野球と関係ないニュースについてはNFLや引退した選手が野球と関係ない活動をしている場合を含んでいます。また藤川についてはウェーバー通過後のニュースはMLBと無関係に、通過前はMLB関係のニュースに基本的に分類しました。またかなりおおらかに、MLB一般の内容に入るように解釈し、極力日本人選手関係を減らすように記事を確認しました。
その結果、実に全ニュースの2/3がMLB/MiLB所属の日本人選手のニュースとなり、さらに14%近くがMLBと無関係なニュースでした。例えば巨人のフランシスコが~とかダルビッシュ以来の~とかそういう関係のニュースで、明らかに主語がMLBでは無いものです。併せて8割がそういう関係のニュースでした。さらに野球と無関係なニュースが3%強もあり、その結果、MLB一般のニュースは1/6程度でした。
ざっくりした感じだと、
・イチロー、代打で凡退
・青木○安打
・川崎降格
・巨人フランシスコ二軍でHR
・上原、完璧○S目
・カーショウ、7回無失点
みたいな感じですね。應援のための観戦、應援のためのニュースとはこういうことです。別に應援のためのニュースを否定するものではないですが、純粋なMLBの情報を日本語で手に入れることは困難になります。もっとも、自分含めてMLBの情報が欲しいファンは現地サイトで探しているのです。とはいえ、より深く知る入口になる可能性を示しているだけで、事実上大きな隔たりを作っているようにも見えます。もちろんこういった情報に多くの需要があるからこうなっているのでしょうけれども。それこそが先述のせいのフィードバックの効果と言えます。
そんなのはどこの国も一緒では?という疑問もあるかと思います。他国の情報が中心と言うことで、アメリカのYahooのサッカーのニュースページのURLを添付します。また同じことをやるのは面倒 (というかサッカーは詳しくないのでMLSなのか他国のリーグなのかの判別が…) なのでやりませんが、パッと見でも様々なニュースが飛び交っているのが分かります。
http://sports.yahoo.com/soccer/
良し悪しではあります。本当は欧州で活躍するアメリカ人の情報が欲しいの!!!みたいな人が多くいてもその需要に応えられていないことになりますからね。とはいえ、ある程度需要に応えたニュース提供だとすると、日本のMLBの情報はかなり偏っていると思えます。
應援のための観戦、それが日本で多くいるスタイルなんだと感じます。
…ちなみに應援指導的なポジション出身なんだろ、って言われたら、その通りです。それはそれこれはこれ、って言ったら多分怒られます。ので、もう少し詳しく書くと、やはり自分と机を並べて勉強してる友人(あるいは後輩・先輩でも良いでしょう。)の應援をするのは悪くない理屈だと思います。それでも色々な葛藤がある訳です。自分がいくら頑張っても評価はされないし、勝利にも結び付かないから。それでも應援をリードする立場に立つ必要があったのは、よりよい形で友人を應援したいから、という理由がありました。そのせいで私の所属していたところはまともな應援は出来ません。應援団ではなかったので。あくまで應援団は應援席全体を指し、それをより良いものにするために指導する立場でした。社会人になった今、この頃の経験にかなり感謝しています…それも良し悪しですが。
正直應援していると野球の試合経過とか全然頭に入ってないんですよねー…。野球観戦の楽しみは應援指導にはなかったかなぁと思います。ね、金払って黒黄のハッピ来て騒いでる皆様。
☆その他 小ネタ拾い その1
TBはSEA戦被Sweepで貯金も吐き出し、首位陥落。とはいえ、混戦のALE。確実に5割をキープしてくれれば良いでしょう。それにしても再建期って言ったの誰だ?LoneyもJasoもMooreもCobbもSmylyも欠ける中でもそれなりなチームになっています。ワンチャンスでPOも狙えるんじゃないかと思っています。…まさかNFLでたまに見るような負け越しでの地区優勝、PO進出は無いんじゃないかと思いますが。。。驚きの運の回復を見せているForsytheの活躍が嬉しいですね。
このSEA戦は先発投手が20.1イニングで22奪三振4与四球3自責点。それで3連敗ですか。。。相変わらずの投手優位なチームではあります。これだけLOB%とかBABIPとかも幸運だったっぽいんだから勝ちって意味でも幸運だったら良かったのにな。上手いこといかないものです。
ただ二戦目の初回のブロックは完全にアウトでしょう。ビデオ判定でなおセーフになったことはやや納得が行かないところです。
それにしてもOdorizziの不運っぷりには…7回7奪三振2四球1自責でエラーでの失点が1。これで負け投手になれます。
☆小ネタ拾い その2
Raysが打てる捕手の産地だと聞きました。そんな馬鹿な。
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捕手のリーグ平均と比べてもTBの捕手陣は全然打てていません。去年今年は逆に驚くべき数字です(今年の数字は数日前のもの)。これで打てる捕手の産地だというのでしょうか?
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…打ててる(笑)TBから出た後に。これくらい打てるならTBの穴であるDHとしても十分機能しそうなんだけどなぁ。正直NavarroとJasoはともかくChironosとVogtがここまで打てるとは驚きです。
☆小ネタ拾い その3
マートンのタックルについて以前ある程度擁護する記事をアップしたところ非難轟轟とまで言える内容でした。リンク
が、里崎や野口がある程度当たられることを想定したプレーをしているというと途端にタックル擁護組が出てくるように。。。世論がどう動くかはわからないものです。
☆小ネタ拾い その4
今月の月間SLUGGER。日本人特集は面白かったですね。ところでなんで岩村が可、新庄と青木が優、福留は準可なのでしょうかね。年俸のことを考えている記述が随所にみられますが、落ち着いて打撃成績を見たら良いのではないかと思います。別に福留のことが好きとかそう言う訳じゃなく、むしろあのスイングは個人的には好みのスイングではないのですが、成績を見た方が良いと思います。年俸のことを言うのであれば、年俸総額への負担はTBの700万ドル(Loneyくらい)はNYYの2100万ドル(田中くらい?)と等価、くらいの計算もしてほしいですし。詳しくはリンク先を参照ください。
リンク1
リンク2
☆小ネタ拾い その5
Nathan Karns投手、PITCH f/xでは速球、ナックルカーブ、チェンジアップの使い手とされてますが、どうもその速球はいわゆる4シームと1シームを投げてるんだとか。日本以外でワンシームと言う言葉を聞いたのは初めてです。
DeNAの山﨑投手、こちらはよく曲がる2シームが武器とのことですが、私の目が悪いんでしょうか。どうにもシンカーかチェンジアップにしか見えないのです。日本からはシンカーという言葉はなくなってしまったのでしょうか。それとも高津の幻影を見ているのでしょうか?
って言うものの変化球は言ったもの勝ちですので、言い方は自由なんですけどね。そんなこと言ったら私の決め球は4シーム改Ⅱです(笑)そんなレベルの内容なので小ネタ程度にしておきます。これも詳しくはリンクへ。
ちなみにリンク先の記事には間違いがありにけり。が、直すのも面倒なのでそのままにしております(笑)
☆小ネタ拾い その6
WHIPもQSもSABR系の指標ではないし、かなり運にも左右される指標なので参考レベルを出ないと思うんですよね。援護率などと同じような感じです。そもそも気になるなら被出塁率などを使えばいいんですし(数字をいじれば簡単に出てきます)。日本でSABR系指標の代表格の様に使われることには正直違和感しか感じません。SABRはより将来の成績を想像するために使われるもので、過去に残した成績が良かったかどうかなんかはあんまり気にしないものです。単純に過去から未来を想像するしかないので、安定していると考えられる指標、あるいはランダムに変化すると思われる内容について様々な指標で評価したいと考えて色んな指標があるだけです。あるいは勝利に貢献できるが、誰にも知られてない価値であるために安価になっている選手を発掘する(未来予想と言う意味では変わらない)、とされるべきものだと考えます。その考えなしに使われる指標は仮にBABIPだろうがFIPだろうが、レーダーを電探などと称していた旧日本軍と同じように本質を見極めることができてないだろうと思います。
☆小ネタ拾い その7
しばらく前のデータ(多分5月15日くらい)で恐縮ですが、どうもNPBの方が低打率に対する耐性が無いものだと思われる。規定打席以上で打率.250未満の打者がCLでは24%、PLでは36.7%程度に対してMLBではNL29.4%、AL50%となる。DHの有無にも因るが総じてMLBの方が打率.250未満の打者の割合が高い。また、1球団当たりの規定打席に到達している人数もCL4.17名、PL5名、NL5.67名、AL6.4名となり、これまたMLBの方が割合が多い。ついでに言うとMLBではNLもALも1割台がごろごろしてるが、NPBでは1割台は皆無です。
これはロースターの柔軟性の差が一つはあるだろう。もう一つはMLBで打率よりも出塁率・長打率を重視することが定着したからだとも思う。
打者A 2試合9打席8打数2安打2単打1三振1犠打(BABIP.286)3打点 打率.250 OPS.500
打者B 2試合10打席8打数1安打2四球1本塁打2三振(BABIP.000)1打点 打率.125 OPS.800
この二人を比べて起用したいのはどちらだ、と考えてみれば良いのではないかな。
雑多な内容でしたが今日はここまで。