Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

【連載 第13回】打者の運と実力を探る ~それでも実力である~

 本稿は連載をしているひとつながりの記事です。 過去記事についてはリンク先からご確認ください。

[第18項:ではxBABIPは使えない指標なのか]

 前稿で論じたとおり、xBABIPの振れ幅以上にBABIPの上下は可能で、また各種指標と比べてもLuckは相関がありませんから、真の実力を見極めるのは困難です。

 とはいえ、xBABIPも「無いよりはマシ」な指標です。

 このように成功率を一律.300とすると、xBABIP以上の極端な値となることが分かります。つまりxBABIPが多少精度を向上させてはいるのです。

 とはいえ、xBABIPの値を鵜呑みにすることは良くないですから、あくまで参考程度にしかなりませんね。xFIP等に対するFIPと言う感じでしょうか。

 解決方法は特にはありませんが、現在であればStatcastで多数のサンプルを集めた上で、その選手の全打球を判定、平均的な守備力の選手達であれば、本来ヒットになるはずだったヒットの率(=xBABIP)を計算することも可能でしょう。それと比べて、実際に残したBABIPをみて、幸運だ・不運だと論じるのが最も正確の様な気がします。また、現在Fangraphsでもある打球の速度(高・中・低)の分類によるxBABIPの計算や速度×打球タイプ=9分割によるxBABIPの計算も可能でしょう。あとはサンプル数が揃うのを待つばかりです。これらの欠点としてはSABRメトリクス全般に言える内容ではありますが、アマチュアのブロガー等が個人のガッツとセンスで新しい指標を作ったり、論じたりする幅が狭くなり、分析が硬直化・マニュアル化してしまいそうなことくらいだと思います。個人的には結構残念だとは思います。

 今日は非常に短いですが、ここまで。次回から最終章に入ってまとめを行い、最後に余談をいくつかしてこの長い記事を終了させたいと思います。