Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

おまけのつもりが長くなったので別記事になったNPB各球団のLOB%の話

 元々は前の記事(リンク)・前々の記事(リンク)で話していたPAPについての議論のおまけで書くつもりだったのですが、それぞれがなんか長くなってしまったので、別な記事にすることにしました。

 さて、LOB%という指標があります。Left on Base%、日本語に訳すと残塁率とでも言えば良いでしょうか。式は以下のとおり

LOB%=(H+BB+HBP-R)/(H+BB+HBP-1.4HR)

 きちんと残塁率になっている訳ではなく、より簡易的に計算が可能になっていることに注意が必要です。ですから理論上はLOB%が100%を超えることもあり得ます。(R<1.4HRの場合)

 LOB%についてはこれまでも議論を続けていましたので、気になる方はリンクよりご確認ください。

 LOB%は何を示すかと言うと基本的にはランナーを出してから得点を許さない粘り強さを示すとされていますが、実際はそういう訳ではなく、むしろ運によって左右されていることが分かっています。基本的には70%台が多く、投手個人で見た場合は80%を超えると幸運、70%を切ると不運とされるものです。また、投手の実力は反映しにくいのですが、奪三振の多い投手についてはLOB%を低く抑えることが可能であるとされています。一般的に投手でしか使わない指標ですが、これをチームに当てはめてみようという実験です。

 これは巨人が残塁多いというようなニュースを見かけたので、実際にチームのLOB%がどうなったのか気になったのと、それ以外にも何かわかることが無いかと思った訳です。

 では早速見ていきましょう。

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 左側OFがチームの攻撃が残している成績、右側が投手陣の成績です。

 注目の巨人については確かにLOB%が高く出ている一方で、投手陣のLOB%も高く出ており、何が悪いというよりもバランスが取れている印象があります。但し、投手陣は三振が多いのでLOB%がやや高く出ても問題は無いのですが、攻撃の方はリーグ内では下から数えた方が良いくらいの三振数ですが、LOB%はトップ。確かにやや残塁が多そうな印象ではあります。いずれにせよ、巨人は高めのLOB%が出ているとは言えます(バランスが取れているので極端に幸運・不運では無いと考えられる)。

 阪神はバランスが悪いというよりもどちらも不運と言える感じではあります。それでも首位にいるのであまり大きな問題にはならなさそうですね。そして横浜はいつの間にか最下位なのですね。リーグワーストのLOB%もありますが、与四球が多く、三振数は普通、被本塁打も多いということで失点が目も当てられない程になってしまっています。DH有りのPLのどのチームよりも失点が多いというのは良くないでしょう。若干不運だとは思いますが。

 PLに目を移してみるとCLと比べてLOB%が低い傾向があるように見えます。これはチームの得点力の高さを示しているのでしょう。その中で最下位の楽天は攻撃のLOB%は高い(残塁が多い)一方で、投手のLOB%は低目な値ですから、不運もあるのでしょう(決して不運なだけではない)。

 オリックスも得点力が低く出ていると言えますが、投手もリーグ2位のLOB%です。

 日ハム・西武はバランスはとれている値と言えるでしょう。西武は攻撃のLOB%が高く出ていて、本塁打で得点を重ねるスタイルが透けて見えます。

 

そしてソフトバンクですが、僅差でリーグ2位の野手のLOB%に加えて断トツトップの投手のLOB%がこの順位に押し上げています。投手のLOB%はDH制有りにも関わらずCLのいずれのチームよりも高いLOB%を誇ります。もちろんソフトバンク奪三振数がCLでは断トツで多いこともその理由ではあるのですが、それでもなお、ソフトバンクは幸運であることも事実かと思います。K/9(奪三振率)は大体1%強、LOB%に影響を与えると言いますが、ソフトバンクはそれを凌駕するLOB%の上昇だからですね。ですからもう一度同じようなシーズンをやってもソフトバンクがここまで独走することは考えにくいのではないかと思います。それでもソフトバンク、強いですが。

 と言うところで今日は以上。