Jake McGeeの賞味期限は？
と言う訳で今日のターゲットはJake McGee。BoxbergerにせよMooreにせよ、本当は去就が決まってから書こうと思ってましたが、そうもいかなさそうなので、さっさと書いちゃうことにしました。
余談ね。McGeeは発音はどう見ても(聞いても)｢まぎー｣ですが、｢Mc｣はスコットランドとかアイルランドとかのあっちの方のゲール語で○○家の息子って意味があるのでGee家の息子って意味。Geeと言えばMLBならDillon Geeですが彼の発音は｢じー｣。英語って難しいですね(日本語にもたくさんあるけれども)。ついでに脱線するならO’ConnorとかO’Donnellの｢O’｣も息子とか子孫とかって意味(確かこれもゲール語系)。さらにはDonaldsonの｢son｣もその字のとおり息子って意味。McDonaldとDonaldsonは同じ意味なんです。もっというとJansenとかAndersenとかの｢sen｣も息子って意味(デンマークとかかな？)だし、Manningとかの｢ing｣も息子(これは英語とか)って意味。あとは作曲家のMendelssohnの｢sohn｣も息子(ドイツ語)、Fitzpatrickの｢Fitz｣も息子(ノルマン語)、MartinezとかHernandezの｢ez(esも)｣も息子(スペイン語)。McMartinとMartinezは同じ意味ですね。こういう苗字の由来は面白いですよね。日本語もそうですけど、欧州系の苗字の場合、国を超えて、言語を越えてというのが良いですよね。…おまけで書けって？たしかに。
さて、そろそろ本題に行きますか。McGeeは左ひじの手術(内視鏡でいわゆるネズミを取る手術)を受けて、シーズンには出遅れました。結果、昨シーズンは39試合の出場に留まりましたが、それでも｢投げれば一流｣という辺りを見せました。成績を見つつ、今年の成績予想でもしてみようかと思います。
□01
39登板、37.1投球回はいずれもフルシーズンとなった12年以降最低の数字でした。これは怪我の影響でしょうがないでしょう。勝ち星1も最少で、初の負け越し。もっとも中継ぎで勝ち負けって…。それよりも注目すべきなのはSVとBSの方。昨年も6S4BSでしたが通算でも26S14BSと結構な割合のBSがあるのです。もちろんBoxberger程じゃないですが。ここらが彼は一流の成績を残しながら、クローザーを任せられない理由だったりしそうです。もっとも、TBの場合は未だに優秀なセットアッパーと程々なクローザーという組み合わせを好みますから、その影響も無きにしも非ず。私も好きですよ、最強セットアッパーと程々クローザーの組み合わせ。
□02
この辺は軽くで良いですかね。気になるのは14年と比べると被本塁打数が多いこと。イニング数は34も少ないのに。ここのからくりはあとで見ましょうかね。
□03
被打率とOPS。ふむふむ。相変わらずめちゃくちゃ良いですな。14年より(特に長打率が)若干悪化したとはいえ、全体で被OPS.544。ノーチャンスに近いイメージがありますよ。バッターみんなSam Fuldみたいなもんですから。
□04
ここら辺からが本番。K/9は14年を上回る11.57、一方BB/9はむしろ良くなり1.93。K/BBは6.00と素晴らしい数字が出てきました。良いですね、こういうの。ついでに見るとHR/9は通算成績とほぼ同じ値(普通にイニング数の誤差ですね)。14年があまりにも幸運、13年があまりにも不運だったと言うべきでしょう。イニング数の少ない、すなわちサンプル数の少ない救援投手ですからここら辺の数値は激しくブレやすいですね。
□05
14年と比べるとFIPもxFIPもやや悪化しました。結果ERAも悪化した訳ですが、xFIPと比較すると、まだ良い数字が出ているのが分かるでしょうか。最終的に通算成績だとxFIPとERAはそこまで大きくかい離していませんので、昨年は14年に引き続き幸運であったと言えそうです。ちなみに13年は極度の不運ですね。投球内容も悪化しているのですが、ここはまた後程見ていきましょうか。ちなみに、FIPの変動は間違いなく被本塁打が大きく影響していますね。
□06
続いてはLOB%関連を見ていきましょうか。LOB%は三振を奪える投手程良くなりやすい傾向はありますのでそれを考慮した物がkLOB%です。それらとは大きなかい離は少なくなっていますが、やはり13年は不運、14年は幸運と出ています。ただし、そのブレはそこまで大きなものではありませんね。15年はほぼ実力通りであったと言えるでしょう。ちなみにリーグ平均LOB%は73％とか74％とかですので、kLOB%で平気で77％台をたたき出すMcGeeの奪三振マシーンぶりがよくわかります。
□07
注目はここですね。まずGB/FBを見ると13年1.10から14年0.89、15年0.85という変化。どちらかと言えばゴロ系だったのがフライ系に変わっています。その結果、被本塁打は増える代わりに、被打率は減少しました。先程のOPSとかが載っている03番の表を参照してみてください。
そしてHR/FB。14年があり得ない程の幸運だったのに対して、15年はやや戻して7.3％でした。これでもリーグ平均(11.4％)よりは大分良いので恵まれているといえるでしょう。むしろ13年の方がリーグ平均に近い数字となっています。いずれにせよ、ここの戻りがOPSにも長打率にも防御率にもxFIPにも影響を与えているのが分かります。
□08
打球の運要素も見てみましょう。これを見ると13年以降毎年マイナス(不運)を記録しています。15年に関してはxBABIPがすごい値を示していますが、これは昨年のLD%が15.6と凄まじい数字だったからですね。打者なら20％くらいは欲しいところですから、相当低率でした。サンプル数の関係からもこれを維持することは困難でしょうね。それを別として、通算ではBABIPとxBABIPの差が無い様ですね。これは来年度の予測は難しい奴です(まぁ運を予想しようとしている時点で相当難しいことをやろうとしているのだが)。
□09
球速を見ていきましょうか。15年は球速がガクッと落ちました。それでもそこそこ以上の球速ではあるのですが、不安は残ります。怪我の影響などではないと良いのですが。変化球に関してはほぼカーブ一択になっています。ここの球速さは20mphもあり、本当にコントロールできているのかが疑問ではあります。
□10
実際投球の割合に関しては速球頼りなのは昔からです。それでいて奪三振率が高いのですから、嫌になっちゃいます。
ただし、実際彼は変化球が少ないために、与四球が少ないにも関わらず、投球数は多くなりがちです。イニング当たりの投球数は16～18、打者当たりの投球数は4.2～4.4もあるのです。打者にしてみれば速球系さえ見ていれば良いのですから、いかに速く、質の良い球であっても、簡単に打ち取られるようなことは無い訳です。肘の怪我もあり、この吸湿をいつまで維持できるか、が肝になるのではないでしょうか。
と言う訳で最後に彼の成績を予想してみましょうか。登板数がかなり難しそうですね、予想が。
52G 45.2IP 53SO 10BB ERA2.96 FIP2.61 xFIP2.59 HR4 H36
こんな感じでしょうか。13年のイメージに近い成績でしょう。試合数は控えめで調整してみました。HR/FB、BABIPと言ったあたりの運要素はちょっとずつ悪くしています。一方LOB%については現状維持ではあります。
これくらい投げてくれたらちょうど良いですし、今ならトレードに出しちゃえるなら出しちゃっても良い気がします。QO申請できるかと言うと微妙な数字だし、であればまだ年数残ってるうちが良いですよね。TBの都合でしかないですが。
☆本日のおまけ その1
スーパーボウルの出場チームが決定しました。AFCではスーパーQB対決をManningが制しての出場。もっともこの二人のPOでの対決だとホームのチームがいつも勝ってるみたいですが。やったね。これでまたスーパーボウルはNEに勝たれるという悔しいことがなくなりました。NFCからはレギュラーシーズンもぶっちぎりだったCALが勝ちあがってきました。良いですねぇ。安心して観れるスーパーボウルになりそうです。應援するのはCALでしょうかね。あのユニ結構カッコいいと思うんです。
☆本日のおまけ その2
NLでのDH制採用についての議論が再び盛り上がっていますね。ちなみに私は反対です。別に原理主義的なことを言うつもりはなく、豊浦さんがブログでおっしゃっているように、｢DH制しかない｣状況が私も嫌なだけです。どっちもあるのがなんか楽しいですよね。ちなみに貧乏TBからすると実はDH制なんて無い方が良かったりする？計算してないけどTBの過去のDHって結構悲惨だし。
08年 Floyd Jonny Gomes、Baldelliら
09年 Burell
10年 Burell、Dan Johnson、Willy Aybarら
11年 Damon
12年 Scott、Matsui、Longoriaら
13年 Scott、Delmon Youngら
14年 Joyce、DeJesusら
15年 Butler、DeJesus、Jasoら
これくらいなら、対戦チームからDHを打席に立たせない方がプラスに働きそうでしょ？
