Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

楽しみな様な、不安な様な、そういう投手

 ようやく暖かくなりましたね。寒さには人一倍強いけど、寒いのが嫌いなseriseriは暖かくなってくれて何よりです。と言う訳で今日のターゲットはAlex Colome。昨年でオプションが切れてしまったため、今シーズンは怪我でもしない限り、フルシーズンMLBで活躍してくれることが期待される投手です。マイナー時代から一貫して先発での育成がなされていましたが、現状TBはArcher、Odorizzi、Smyly、Ramirez、Mooreとローテーションが決まっていて、シーズン途中にはCobbもかえってくる予定ですし、Snellにも期待が膨らみます。そのため、昨年途中から中継ぎでの起用が多くなされていました。今年もおそらく中継ぎで、場合によっては重要な位置で投げることが期待されるでしょう。また、昨年の様な怪我人の嵐が発生した場合は先発の機会も訪れるかもしれませんが、チーム事情的にはそれは歓迎すべきことではないでしょうね。

 そんな訳で彼がいったいどういう投手で、今年はどれくらいの成績を期待されるかを数字を使って見てみましょう。

□01

 先にも言った通り、基本的には先発投手として育成されてきました。08年からマイナー通算で118試合中117試合で先発しています。MLB昇格後も基本的には先発として運用され、昨年も13試合の先発起用でした。シーズン通してだと32-34試合先発位ですから、1/3くらい先発した感じでしたね。

□02

 率ものや率で見た方が分かりやすいものはあとで見ていくとして。まずはERとRの差が結構あること、それとHBPがBBと比較しても無視できない程の数があることに注目してください。基本的に荒れ球なんですよね、Colome。

□03

 見ればわかるとおり、典型的な荒れ球で奪三振も多いけれども与四球も多く、結果K/BBは低くなりがちな投手です。死球数が多いのもこれとは無関係ではないでしょう。それなりな先発数を確保した時にK/BB3.00をクリアしたことが無いのは今のTBの投手陣の出来からするとやや厳しいものを感じます。但し、昨年はBB/9=2.54、K/BB2.84と成長を見せることができました。ここについては後程また少し。

 それ以上に気になるのが、MLBカテゴリーでの奪三振能力の低下です。実際にここが壁となっていわゆるAAAA選手になるパターンは結構あるので、今シーズン乗り越えられるかどうかが注目ポイントの一つでしょうね。ここについても後程また少し。

□04

 ERAは決して悪くはないのですが、四球数が多いことによってFIPは高めに出ています。マイナーではほぼ一貫してERAの方が低い値を出していることに注目してください。ただし、昨年はむしろFIPの方が高く、xFIPに近い数字ではありました。結局与四球が多いとこうなりがちではあります。一方で、三振でピンチを強引に突破することもできてしまうという考え方もできたりするのですね。。。

□05

 ここら辺はまだサンプル不足でしょうかね。WHIPを見ると、与四球が多い投手の割に低い傾向が見られると思います。BABIPが低めに抑えられてる時が多いのがその理由でしょうか。ただ、次に見るようにxBABIPは決して低い投手ではなく、ここは運が良かったのも影響してそうですし、マイナーの中では実力で突破できてしまった可能性もあります。

□06

 と言う訳で、打球傾向なのですが、何が問題かと言うとまずLD%が非常に高いことですね。これは13年から(イニング数少ないとはいえ)一貫して高めの傾向が続いています。また、どちらかと言えばゴロ系のこともあり、三振が取れなくなると途端に被打率が上がってしまうことを示しています。もちろん運が良ければ問題ないのですが、そこに頼るのはかなりの不確実性を伴いますから、計算が立たない投手となってしまいます。とにかく対策としては何らかの方法でLD%を下げる、そしてマイナー時代の高い奪三振率を取り戻す、などがあり、いずれかの成功が無いと辛いでしょうね(化けの皮がはがれる前にトレードは一応無しとする)。

□07

□08

 基本的にはスライダー、チェンジアップにたまにカーブを交える投球をする投手で、先発で平均94mphの球速はかなり魅力的ではあります。が、ストライクゾーンに入らなければ意味がないのです。。。

 そんなこんなで彼は昨年は中継ぎ起用が多くなり、今年はMcGeeが移籍したこともあり、中継ぎ要員、できればセットアッパー、上手くすれば(つーかBoxがまた炎上すれば)クローザーまである、そんな起用法が考えられます。実際に彼の中継ぎでの成績はどうなのでしょうか。ざっと見てみました。

□09

 イニング数は少ないですが、奪三振率が上昇し、マイナー時代のレベルに達し、四球率は急激に向上しています。その結果、K/BBは素晴らしい数字になっていますし、当然ERAも良くなっています。これだけを見れば中継ぎ転向は大成功であったといえます。マイナー時代の先発枠としてのわくわく感があった者としてはちょっとさびしいところですが、通年でこの数字が残せるのであれば、万々歳です。

□10

 ですが、中継ぎであってもLD%の高さは気になります。如何にここを低く抑えるかが、彼に求められる内容になってくるのではないでしょうか。また、昨年は中継ぎ40イニングで被本塁打は有りませんでしたが、さすがに今年はそういう訳にもいかないでしょうから、それなりな被弾は覚悟しないといけません。特にLD%が高いのは球が捉えられやすいことにもつながりますから、怖いのは怖いですね。。。

 と言う訳でおしまいにしましょう。最後に彼がどんな成績残せるかを。

63G 65IP 64SO 17BB ERA3.18 FIP2.75 xFIP3.00 HR4 H55

 ざっくりと、中継ぎの中核としての活躍が期待できる数字が出てきました。本当にこれくらいやってくれるとかなりありがたい気がしますね。

☆本日のおまけ その1

 MLB.tvの契約、自動更新だと思ってたら今年更新されなかった。。。なぜでしょ?(笑)

☆本日のおまけ その2

 ネタにしようと思って記事書いたけど、なんか煩雑な文章で没になったネタを一つ。

 NPBの選手ってどうもMLBに比べると「一軍で育成」される様な気がする。が、例えば中田翔や筒香を見ればわかるとおり、主軸級の選手であってもかなり時間はかかる。高卒野手の場合で5-6年、大卒野手でも2年くらい、投手だとそれよりも早いという感じか。阿部や鳥谷なんかは初っ端からレギュラーで起用されてたけど、NPBに対応するにはそれなりな時間かかってる。一方、MLBの場合は主軸を期待される選手はそれなりに完成されてから昇格している。MLB1年目(プロ入り後数年経過してる)で50-100試合くらいの出場→2年目でフルシーズン主軸として活躍が一般的。

 それでもNPBでは「一軍で育成」されるのは

・短期契約の監督がどうしても目先の結果を欲してしまうから

・FA補強やトレードが事実上存在しないため、新戦力と言うとどうしてもドラフトしかないから

・ロースターが柔軟でいつもなんどでも二軍に落とせるから

 なんてのが積極的な理由の一つだろう。

 逆にMLBでは技術的に完成された選手しか昇格しないのは

・6年経てば勝手にFAになってしまう

・マイナーオプションは3年しかないので、育成なんかしてるうちにマイナーに落とせなくなってしまう。

・マイナーでの育成がしっかりとできる素地がある。

 などがあるはず。結果的にドラフトされてから戦力になるためにかかる時間はNPBMLBではあまり変わらず、日本だって育成は悪くないのだが。。。

 大体MLB1年目の選手はNPBだと一軍3年目くらいの感覚であってるはず。数字はめんどうだから載せないけど、そんな感じだった。

 で、何が言いたかったかと言うと、「ドラフトされたばかりの選手を戦力として期待するのは大間違い!!!」ということ。高卒で5年後、大卒で2年後に戦力になれば万々歳である。もっとも一部の飛びぬけた選手たちがそれを無視した様な成績を残しちゃうことがままあるのがそこら辺が解決しない理由だよなぁ。松坂・上原の新人の年とかすごかったもんなぁ。それを期待するのは間違いだということでしょう。