Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

なんたって11連敗 再建に舵を切る時か

 いやはや。あのような記事を書いたから、そろそろ止まってくれると思ったんですけれどもね。止まりませんね。3カード続けてスイープを喰らい、現在11連敗中。先発ローテーション2週分負けっぱなしと言う素敵な状況に陥っております。この辺はまぁあとで見ていくとして、今日はその不安定な先発カルテットシリーズ、最後の男Matt Mooreについて見ていきましょう。11年の鮮烈デビューが未だに印象に残っていますが、その当時の期待と比べると今の成績はイマイチでしょうか。

 と言う訳で早速見ていきましょう。

□01

 今年はここまで15先発して3勝5敗。週末にも1敗を追加しましたね。ちなみに地味に今年は1先発当たりの投球数、投球イニング数はキャリアハイペースだったりします。P/Oが以前と比べると徐々に改善傾向にあり、特にTJ後は球数面での改善が見受けられます。一方で、まぁ3勝5敗とね。負け越し中でもある訳です。

 ついでに見るとあとちょっとで通算500投球回、100先発も今年中にできるかもしれません。勝ちは…理論上今年中に50勝が手の届く範囲でしょうか?(笑)

□02

 昨年との比較が良いかもしれませんが、奪三振が増え、与四球は減少傾向、相変わらずよく飛ぶ今年の打球で被本塁打は多め、失点も被安打も多くなっています。これ書くの何度目でしょう…。

□03

 率ものは比較が容易なので良いですね。先述したとおり今年はかなりの改善傾向が見られていたりします。TJ前後と比較すると奪三振率は上昇しており、12年13年の良かった時に近い数字になっている一方、与四球率は2.62と以前の4点台と比べるとはっきりと良くなっています。もちろんK/BBはキャリアハイを記録しています。これだけ見るとかなり良い投手には見えますね。

 Mooreの欠点として与四球率の高さから長いイニングが投げられない、球数がかさむというものがあったのですが、それが改善されるとなるとかなりおいしい展開だと感じます。

 被本塁打率には一旦目をつむりましょう(現実逃避)

□04

 が、防御率は悪化。FIPもxFIPも決して良い値は出ていません(でもxFIPは実質キャリアハイペース)。FIPやxFIPはリーグ平均の防御率にも左右される値ですので、年ごとの比較と言う意味ではイマイチ使い勝手は悪かったりします。また、リーグ全体の奪三振率の向上に伴い、Moore自身の奪三振率の高さがアドバンテージとして活きなくなってきているのはあります。

 また、今年はERAの方がFIP、xFIPよりも高い数字を出してしまっているのですが、LOB%奪三振率と比較するとやや幸運(まぁほぼ標準的な値だが)となっています。つまり、それ以上に被安打や被本塁打が、標準を超える勢いで打たれてしまっていると考えることが可能です。被本塁打の悪さについてはFIPとxFIPでの差が大きめなことからもわかるところではあります。

□05

 BABIPについて確認してみると、今年もまた大きな差が出ていて、不運な方に傾いています。xBABIP自体はそこそこ良い値が出ていますが、BABIPは標準以下となっていて、もったいないと思ってしまいます。但し、元々イニング数が少ない上に奪三振が多い投手なのでサンプル数が減ることもあるのでしょう、単年ごとのBABIPとxBABIPの差は大きめな選手ですね。

 通算での値は普通な感じです。

□06

 打球傾向は比較的フライが多めとはいえ、全体的にはナチュラルですね。TJ前後と比べるとLD%がやや下がったこととフライ比率が上がったことがxBABIPの向上にはつながっていますが、BABIPが上がってしまっているのでもったいないですね。

 また、HR/FBに関しては彼もまた、標準よりも高い値…というか毎回絶望したくなる15%という数字。これを超えるとなんかなぁと思いますよ。。。本当にどうしちゃったのだろうと思うのですが、これが現実です。その結果が防御率の悪さにつながっているのは間違いないところですね。

□07

□08

 上が投球割合、下が速度ね。速球の球速自体は全盛期に比べると下がっていますが、TJ前後と比べると回復傾向にあって、特にカーブやチェンジアップが速くなったのが良いですね。また、少し使っていたカッターは使わなくなっていますが、カーブとチェンジアップで十分でしょうね。

 そんな感じで、彼については被本塁打率とBABIPの悪さが防御率の悪化につながっているのでしょうね。せっかく投球内容が向上しているのに、非常にもったいない。。。

 そしてせっかくなので、不安定カルテットについてまとめてみましょう。

1.Archer

・コントロールが悪い。だから与四球率が悪化している。

・BABIPも悪い。被安打が増えてる。

・HR/FBは絶望。当たればフェンスを越える。

2.Odorizzi

奪三振の減少と与四球の悪化。

・実は幸運と言える防御率

・が、好投した時は勝てない。QS時の勝率0。

3.Smyly

奪三振率を維持しつつ、与四球率の改善

・xBABIPに比べると高いBABIP。結果、被安打が増える。

LOB%が標準より悪い。

・標準よりも高いHR/FB。さらにフライ系なので失点に直接つながる被本塁打が多い

4.Moore

・与四球率の改善による、キャリアハイのK/BB

・高いHR/FBから来る被本塁打の多さ

・そしてBABIPが悪い

 こんな感じでしょうかね。まぁ揃いも揃って色々不運な要素を持ってくるものです。この中でもまだ期待ができるのはOdorizziでしょうか。現状不運な要素は少ない選手で、安定はしています。勝ちがつかないだけで。Smylyも悪くないですね。内容的にはカルテットの中では最高です。が、逆に全部が不運に傾いているので、色々厳しそうです。MooreはTJからの復帰が上手く行っている感じで、今後はたのしみですが。。。そしてエース殿はせっかくの奪三振力を活かせていません。与四球率の改善が急務で、正直少しくらい三振が減っても、与四球率を改善しないといけないのではないかと思いますね。

 なんのかんの言っても得点力は低いTBですから、先発投手陣がこの体たらくでは…。

(今シーズン)

 TBは今シーズン、珍しく勝負をかけにいったシーズンでした。Morrison、Dickerson、Miller、Pearceと若手と言うよりは即戦力系の選手を大きな痛手なく補強し、課題だった打線を特にパワー面に絞った形での戦力を充実させました。野手で言うとMahtookとかBeckham、Motter、Kiermaier、Souza、Casaliなど、大きすぎる期待さえしなければまずまずの働きが出来そうな若手野手も育っていて、昨年とうとうブレイクしたForsytheがシーズン通して働ければ、ぶっちぎっての優勝は無理でも、何とか混戦の中優勝争いは望めるだろうくらいのチームに仕上がっていました。そう思っていました。また、投手陣も先発は贅沢な陣容…というはずでした。が、ふたを開けてみればエースの炎上をはじめとして、自慢の先発は安定せず、打線は本塁打こそチーム史上最多クラスのペースで打ちまくる一方、打率は低迷、さらにはTBの代名詞だった出塁率もチームの方針転換もありこちらも低空飛行。デプスは厚くなったとはいえ、もとより打ち勝つチームではないため、失点が増えれば負けは込む一方。どうしようもなくずるずると負けが増えて、そしてこの連敗でした。

(再建へ)

 TB自体、ここ数年、プレーオフは進出できておらず、エースクラスの放出もあり、野手が育たないため、戦力自体は漸減傾向にあり、じり貧でした。それでも何とか先発投手(とLongo)が若いうちにまたプレーオフへという毎年の戦力の整理でしたが、それが結果を残せていませんでした。正直、ここで一度TBは戦力の再整理を行い、再建期に舵を向けても良いのではないかと思います。この投手陣では限界です。。。お金もないですし、仕方がないです。腹をくくってはいかがでしょう。私はもう、覚悟はできています。短期的な再建ではなく、ある程度長期的な再建を目指すのが良いのではないでしょうか。

(再建策)

 TB側としてはやはり再建策はドラフトとトレード両方での戦力の充実にかかってくるでしょう。HOUの例があるように、ある程度時間をかけても、数年間維持できる戦力を作り直したいです。

 TBはここまでそこそこ勝ってしまっていたためにドラフトは下位に沈んでいましたし、まともなFA選手もいないため、サンドイッチももらえず、さらには貧乏人にもお恵みを戦力均衡くじ引きドラフトピックは得意のツモ弱を発揮し、全然ピックが発生せず。貧乏なのに(笑)

 但し、正直今いる選手達をトレードで、若手をというのは私は考えるべきではないと思っています。TBが過去にある程度トレードを成功させたため、周囲からは良いプロスペクトは得にくいですし、そもそもプロスペクトの価値も上昇しています。加えて、プロスペクトがもらえそうなほどの良い選手がTBに見当たらないこともあります。だったら、FAまで確保して、QOを申請した方がマシなのではないかと。FAになれば(つまり目に見えるプロスペクトを手放さなくて良いなら)、手を出したい選手はたくさんいます。特に先発陣に。だから、再建だからとむやみにトレードで残念なチームを作るのではなく、確実にQOを蹴ってもらえるような選手になるように調整してほしいというところです。

 正直この方が再建のスパンは長くなるでしょう。5年以上かかるかもしれません。それでも良いと思っています。あ、でもForsytheは欲しいチームがいたらトレードしても良いかもしれません。彼は地味に良い選手系ですから、FAされてもQOはもらえないでしょうし、欲しいチームは欲しいでしょうから。あとはドーピング的に補強された選手たちはトレードされてもしょうがないでしょうか。

(Longoについて)

 再建となるとやはりネックになるのは高額年俸のフランチャイズプレーヤーたち。TBだとMooreとかArcherとかLongoとか。短期的に雇っている選手たちはトレードで良いですし、トレード相手に過度な期待はしなくても構いません。FAでいなくなっても痛くない選手達でも問題はないのです。

 特にLongoriaはTBの象徴とも言える選手です。彼がフレッシュだった新人時代、Raysも新時代に突入し、黄金期に入りました。彼の成績とTBの成績がリンクしていると言っても過言ではない程、TBの中でも唯一全国区のスター選手です。彼が他のチームでプレーしている姿は想像できません。

 それでも再建するなら聖域なく、トレードすべきと言う意見もあるでしょう。むしろ一番トレードの価値が高いのではないかと思われさえ、します。17年から22年は「たったの」1億ドルでしかないですし。

 が、それでも、私は彼をトレードすべきではないと思っています。情緒的なところもあると言えばあるのですが、それよりも気にすべきは再建までの時間ですね。別に何か計算した訳ではないですが、正直な話、5年以上、もっと言うと6-7年くらいかかるのではないかと思っています。それくらいかかっても構いません。となると、「今Longo程度で手に入る完成度の高いプロスペクト」を必要としているかと言うと、そういうことではないのだと思います。であれば、逆に彼には酷かもしれませんが、低迷期をLongoで乗り切って、30代後半になったLongoが一線から退いたくらいのタイミングで再建完了、新旧スターの交代みたいな流れの方が美しい気がします。それよりも、今の(そしてここ数年の)Longoの成績で納得するようなプロスペクトが取れないんじゃないかという恐怖があったりして、そこら辺も含めての、彼だけはトレードしないでおきたい気持ちです。

 そんな訳で、多少負けがこんでもいいから、じっくりとドラフトで再建をしてほしいなぁと思う次第です。

 今年はもう辛いかもしれないけれどもそういう長期戦略とは別に目の前の試合にはがんばRays!!!

☆本日のおまけ その1

 イチローとの絡みでPete Roseを貶める様な内容の発言や記事を多く目にする今日この頃。が、野球選手としてのRoseはそんなに劣っていた選手なのでしょうか。。。私はRoseの現役時代を知りませんが、数字からどんなことがわかるのか見ていきましょう。

□09

 長くやってただけあって凄まじい成績が並んでいます。一つずつ見ていきましょうか。まず安打数。ご存知のとおりMLB最多の4,256安打を放っています。24年間の現役生活で10度の200安打、最多は73年の230安打でした。この230安打を含めて7度の最多安打を記録していますね。それ以上に凄いのが怪我をほぼしないこと。選手兼任監督となった晩年を除くと毎年のように150試合以上の出場を続けました。結果的に3,562試合、15,861打席はいずれもMLB最多記録で、単にヒットを打つ選手ではありませんでした。

 2塁打は74年くらいを境に増加、34歳から40歳までの6年間で5度の40二塁打を放ちました。逆に三塁打本塁打が入れ替わりで減少したのが分かります。この辺で打撃スタイルの変更があったのかもしれません。ちなみにそこまでパワーを武器にしていた選手ではなく、本塁打は66年と69年の16本が最高で、通算でも160本しか打っていません。安打製造機としてのすごさがより一層感じられますね。

 さらにかれはスピードも大きな武器ではありませんでした。79年、39歳にしてキャリアハイの20盗塁をしていますが、大体シーズンで10盗塁前後。通算でも200にわずかに届かない198盗塁でしかありませんでした。また、盗塁死は149を記録していて、成功率57%は褒められる数字ではありません。逆に、パワーでもスピードでもなく、純粋なバットコントロールで勝負していたことですから、凄いことだと思いますよ。

□10

 打点を大量に稼ぐことは出来ない選手でした。もっとも彼はテーブルセッターですので、打点を稼ぐのがお仕事ではありません。ここは無視しても良いでしょう。

 あとでBB%は詳しく見ていきますが、四球数はそこそこ奪える人でしたね。通算では1,566四球です。注目は先程も出した74年の数字とその前後。73年まではせいぜい50-70台の四球数でしたが、74年からは増加し、106四球、89四球、86四球と続きました。先程の二塁打の増加、三塁打本塁打の減少と併せて考えるとやはり何らかのアプローチの変化があったように思えますね。これが34歳の頃ですね。で、三振数は通算でわずか1,143と四球数よりも少ない三振数でしかありません。これは24年間も現役を続けた選手として、そして最多の打席数と考えると驚異的なことです。バットコントロールと選球眼の良さが現れている数字です。さらに、Roseは20代の頃は普通の打者のように三振の方が多い選手でした。が、69年29歳のシーズンに初めて四球数が三振数を上回るとその後85年、45歳のシーズンまで16年間にわたってそれを継続させたのです。これは凄まじいとしか言いようがありません。しかも85年でもなお、500打席で86四球35三振と三振の倍以上のペースで四球を奪って見せたのです。さすがに86年だけは三振の方が多かったものの、それでも数はたったの1。一般に筋力も視力も衰える中でこの数字を残したのはとんでもない化け物クラスだとしか思えません。

 パワーもスピードも武器にしない中でバット一本で生きていく、そんな渋くカッコいい姿が目に浮かびますね。

□11

 打率も通算では3割を超えています。通算で15度の3割超です。ただRoseも年齢には勝てない様で、40歳以降はほとんど3割をクリアできていません。

 とはいえ、Roseの価値はそこではありませんでした。先程も見たように、四球>三振となる様なバットコントロールと選球眼が良い選手でした。その結果、通算では.375、5度の出塁率4割を記録するなど、とんでもなく「アウトにすることが困難」な選手だったのです。主軸につながる上位打線で、出塁率4割と言うのは実は相当難しいことです。主軸の打者でこれから打順が下位に向かうならば日米共に「最悪歩かせても構わない」攻め方をできますが、これから主軸と言う時に「歩かせても」という攻め方はそうそうできません。それにRoseは足もパワーも武器ではないですから、アウトにしたいはずです。そんな中でも4割近い出塁率を維持していたそれも30代でそのような全盛期を迎えたことは凄まじいの一言ですね。

 先程から割と話題にしていた74年、34歳のシーズンについてもちょっと見てみましょう。実はこの年は打率は低く、.284に留まっていました。が、IsoDはキャリアハイの.773、逆にパワーはここから衰えが見える様な数字でした。その後それを維持したのです。なんというか、凄い選手ですね。。。

 そんな訳で、駆け足で見ましたが、正直化け物です。そういうRoseと比較され、議論を呼ぶイチローという選手もまた、タイプは違えど、化け物クラスの選手だと言えるんだと思います。

 と言う感じでイチローの3,000本安打を楽しみに待とうかなぁと思っています。この感じ、Jeter以来ですかね(A-Rodも好きな選手だけど、出場停止とかあった後のシーズンだったし、イチロー以上にケチがついちゃいましたからね)。

☆本日のおまけ その2

 そんな訳で久々に週間になったファンタジーの週間MVP。つーかね、なんか気づいたら10チーム中、5位と大差の6位になってますよ、私(笑)安打、得点、盗塁、QSが最下位で、本塁打が3位、打点が2位、盗塁死が1位、OPSは4位、WHIPが2位みたいないびつな構造してますけど。最下位からよくここまで上がってきたよ、俺。

 で、野手のMVP。打率.381、OPS1.340、3本塁打、6打点と華麗な復活を果たしたTuloにしましょう。…やっとここまで上がってきましたね。また、Carpenter、Jonesらも好調です。打撃は良いねぇ調子が。

 投手は2戦2勝2QS、15イニングで16奪三振のSaleとしましょう。まぁKershawがちょっと調子悪かったからね。

 こっちもがんばっていきまっしょい!!!

 あー今日の記事なげー。。。←二人分の分析記事やったからね