Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

勝ち越せない投手なんてエースとして認められないんですよ

 なんて言う人はMLBファンの中にはあんまりいないと思いますが。今日はTBのエース、Chris Archerについてみていきましょう。理由?特にない。やってみたかっただけ。

(目的/動機)

 やってみたかったから。データは昨年も使ったやつをちょちょいと手直しすれば良いし。

 なんだかんだ言って、好きな投手なんですよ、Archer。クラシックスタイルで投げるのカッコいいです。

(方法)

 いつものテンプレ(笑)に成績を打ち込み、それを眺めます。次にそれでちょいちょい考察していき、最後にいつもの選手成績予想システムseriseri(今のバージョンはわからないけれどもVer. 1.3.0くらい、という名のただのエクセルファイル)に放り込む…のはやるかどうかはわかりません。

(結果)

□01

 14年からフルシーズンで先発投手を務め、昨年は33先発、201.1回と先発投手としての責任はしっかりと果たしていた。一方、勝敗は9勝19敗と10の借金を抱え、リーグ最多敗となった。

□02

 15年と比較すると三振数は変わらず、与四球数も66→67とほぼ変化はなかった。つまりK/BBの値がほぼ変化なしと言える。また、被本塁打が30本と極端に増加し、自責点、被安打も大幅増となった。

□03

 奪三振率、与四球率はそれぞれ若干の悪化が見られた。ただし、それ以上にHR/9が尋常ではない値を示した。また、ERA4.02に対しFIP3.81、xFIP3.41となり、ERAが最も悪い値を示していた。

□04

 BABIPは.296と一般的な値であった。が、xBABIPは.279とより良い値を示しており、BABIP自体が実力を正しく示していたとは言い難い。

 また、Archer自身はかなりのゴロ系投手(=長打を食らいにくい)であり、さらに昨年はLD%も良かったため、本来であれば被安打数はかなり抑えられてしかるべきであった。

 そしてHR/FBは(リーグ全体でも相当の悪化が見られたが)、急上昇しており、ここが被本塁打の増加の原因と説明できる。フライ率自体は微増に留まるところにも要注目である。

□05

 LOB%を見てみると、72.5%と低かった。Archerは13年こそ高いLOB%を記録しているものの、14年以降は低い値となっており、16年も変わらない傾向が見受けられた。

□06

 投球のスイング・コンタクトを確認すると、まず16年は15年で高くなっていた、ストライクゾーン外のスイング率がやや下がり、逆にコンタクト率が上がっていた。とはいえ、全体的に傾向は15年から大きな変化はない。ただし、1stストライク率だけは大幅に下がってしまっている。

(考察)

 シーズン中(13先発時点)にも考察をしていましたのでそことも比較をしながらの考察としましょう。

 13先発時点では4勝7敗と3つの借金でしたが、そこから20先発で5勝12敗とさらに負け続けてしまいました。当時はK/9が10.95に対し、BB/9=4.23でしたが、前述のとおり、シーズン全体ではK/9=10.42に対し、BB/9=3.00と与四球率を大幅に向上させて見せました。それにも関わらず負けがさらに増えているのですから皮肉なものです(えーすハ マケコシチャ ダメ ナンデスヨ)。

 ただし、当時4.73あったERAは4.03とかなりの向上をさせました。それで負けが増えてるんだから救いようがありません(ボウギョリツ 4テン コエテル えーす ナンテ アリエナイ)。なお、FIP3.81、xFIP3.41ですから、まずE-Fで運が悪く、さらにF-xFで被本塁打がかなり多かったことがわかりますね。ダブルパンチで、運が悪い印象がここにもあります。ちなみにシーズン中ではE4.73 F4.61 xF3.56でしたから、それに比べると…被本塁打はやや改善されて、防御率が良くなったが、E-Fの差はむしろ大きくなっているのだとわかります。

 ちなみにシーズン中確認した時のHR/FBは21.5%であったのが16.2%まで改善されていますね。それでもまだまだ高い数字ではあったのですが。

 打球傾向はゴロ系なのは変わらずですね。BABIP.329だった6月上旬と比較すると.296でまだマシな値になっています。それでもまだ運が悪いと思うのですが(ヒアンダ ガ オオイ ぴっちゃー ハ えーす トハ ヨベナイネ)。ちなみに昨年はキャリアでも最も良いLD%を記録していて、xBABIPを押し下げています。そういう意味でもかなり完成度の高い投手になってきたようにも思えます。つまり、三振が多く、ゴロ系で、さらにハードヒットされにくいという点ですね。

 ついでにどうでも良いですが、このBABIPの値がほぼ変わらなかったため、本塁打が増えた昨年のMLBでも反発係数が…というのはなんか違う気がします(ちゃんとは確かめてません)。ボールの反発係数の分散が大きくなったという説明だと逆にちゃんと納得しちゃいそうです(これも想像でしかない)。

 ここまで見てきて、BABIPとxBABIPも運が悪い、HR/FBはめちゃくちゃ運が悪いと続いてきましたが、LOB%も72.5%に過ぎず、三振が多いにも関わらず、低めの値しか出ていません(ぴんち ニ ヨワイ ぴっちゃー ナンテ えーす トハ ミトメラレ ナイ ネ)。このLOB%がキャリア通じて割と悪い時期が多いというのはなんだか不思議な感じがあります。

 という感じで、運の要素が壊滅と言える出来だったのが昨年のArcherでしょう。それでも防御率4.02にまとめたのはさすがとしか言えませんし、投手としての完成度はかなり高い投手でしょう。それでも、この運の弱さは気の毒としか言えません。NPBだったら4年間で3度の負け越し、キャリアで借金10、今年も借金10、ピンチにも弱く、被本塁打が無駄に多く、被安打も多い投手などは先発を首になっているでしょう。MLBですから、ちゃんと内容を見て、エースとして起用されているわけですが。また、シーズン通してタフロス7、チープウィン0というのはかなり厳しく、打者にもう少し打ってやれよと言いたくなる感じですね。

 いずれにせよ、今年も頼みます、という感じ。

(まとめ)

・完成度の高い投球内容を見せていた。ゴロ系、奪三振多く、K/BBが良い。

・33先発201.1回と先発投手としての責任も果たした。

・高いE-F、E-xF。高いLOB%、高いHR/FB、高いBABIP。すべてが不運。

・さらにタフロス7、チープウィン0。

・今年も期待したい。

 んで、久々の成績予測です。

G34 IP211.0 SO243 BB67 ERA3.50 FIP2.84 xFIP2.86 HR17 H172

 悪くないですね。

(感想)

 いやはや。わかってはいましたが、ここまで悪いことが重なる選手ってそんなにはいない気がしますね。それでもTBで腐らずに投げてほしいなぁとか思ったり。。。TB史上だと最高の右腕じゃないですかね?(投手に広げるとPriceとの択になるかと思う)

 あ、WBCも頑張ってね。USAのユニ似合うと思うし。

 今日は珍しくおまけは無し