Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

牧田はMLBで通用するのか? ~NPB投手のMLB成績プロジェクションを目指して~ その2 GB/FB編

(目的/動機)

 前回に引き続き、リクエストがあった、西武ライオンズの牧田のMLB移籍した場合のプロジェクションを目指した一連の記事になります。

(方法)

 過去、MLBに移籍したNPBの投手たちのNPBでの成績とMLBでの成績を比較することで、牧田投手が今MLBに移籍したらどれくらいの成績が期待されるかを考えます。

 今回の項目は投手の打球傾向がNPBMLBでは変動するのかどうかを確認してみます。これにより、前回の記事では記載しなかったHR/9の挙動についても結論が出せるのではないかと考えます。

 現状、NPBのGB/FBを手に入れる手段を私は持っていません。せいぜいプロ野球ヌルデータ置き場さんからGO/FOを入手できるだけです。

 これをこんな感じで加工することで、仮想のGB/FBを計算してみようと思います。

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 MLBのデータではありますが、GBのBABIP、FBのBABIPは私は持っている訳で(参照:xBABIP ver.2016をこまごまと ) 、GO=(1-GBのBABIP)GB、FO=(1-FBのBABIP)(FB-HR)と無理矢理仮定することで、GB/FBざっくりと仮定してしまいます。全く正確とは言えないものですが、大体の傾向はつかめるものとします。(突っ込みは色々あると思いますが、所詮はアマチュアの数字遊びブログですので)

 これをプロ野球ヌルデータ置き場さんのデータの残っている05年以降のNPBでのデータが残っている投手について行います。ですから基準は前回の基準+05年以降MLB移籍前3年のNPBでの合計投球回数が150イニング以上の投手とします。ここに含まれるのが岩隈・上原・田中・ダルビッシュ・前田・川上・黒田・高橋・松坂の合計9名となります。

 この計算されたGB/FBとMLBでのGB/FBを比較して、考察していきます。

(結果)

 一覧だと長いので、選手ごとに区切って示します。

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 今回は選手の平均は計算しません。

(考察)

 これらの結果から何がわかるかというと、NPB時代よりもMLB移籍後の方が明らかに数字が増大したHR/9に対して、各投手がフライ系に移行した結果、フライが増え、被本塁打増につながったのか、それともMLBの打者のが試合で発揮するパワーがNPBの打者よりも上なのかを見ることができます。

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 全投手についてグラフに落としてみます。縦軸がNPB時代のGB/FB(無理矢理計算したもの)、横軸がMLB移籍後のGB/FBとなります。

 見てわかる通り、かなり綺麗な右肩上がりの分布となっています。R^2の値が0.8037、つまり相関係数が0.896とかなり強い相関がみられることです。このことから、NPBでゴロ系投手だったのに、MLBではフライ系になる、みたいなタイプの変化が無いということです。

 ただし、全体的に中央右肩上がりの線よりも上に点が打たれている選手が多く、NPB時代と比べるとややフライを打たれる割合が多くなっていることがわかるかと思います。打球傾向自体に大きな変更は少ない物の、やはりMLBの方がフライは多い傾向に、NPBの方がゴロが多い傾向くらいは見えるかと思います。

 そして、再度HR/9に注目をしてほしいのですが、明確にNPB時代よりもMLB移籍後の方が率が高くなっています。その割合は約1.5倍となっています。確かにフライが多く打たれる傾向にはありますが、投手の打球傾向に大きな差が無いことがわかりますから、ここからMLBの打者の方が明確にパワーがあることがわかります(HR/FBが明確にMLBの方が高い)。これはNPBが統一球を使おうが、その前だろうが傾向は変わっていないです。こんなこと当たり前ではないかという声も聞こえてくるでしょうが、それを数字で確かめないで証明する方法なんて私は知りませんから、こういうやり方をするしかないのです。

(まとめ)

・GB/FB、つまり打球傾向に関してはNPBMLBでは大きな差はない。

・ただしMLBの方がフライを打つ傾向は少し高い

・そしてパワーはMLBの方が多く打たれている。

(感想)

 今日は短めで。まぁ予想通りというかなんというか。ただ面白かったのはやっぱりGB/FBの相関係数ですかね。ここまで高い数字ってあんまり見ないと思うんですよ。せいぜいがチームOPSとチーム得点数(ここの相関が異様に高いからOPSが重宝される。いろんな切り取り方あるけれども大体0.9以上の数値が出ますね)くらいで、ほかで相関係数高いって言って0.6程度のものはたくさんあります。この中に疑似相関をまぎれさせられたら大変ですわ(笑)でも今回のものは相関があるって言っても問題なさそうだし、これは牧田投手の成績予想には使えそうであるですね。

 次回の記事でいよいよ最終回、牧田投手の成績を予想しちゃいましょう(笑)