Rayを釣りたくて III

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ。スポーツナビ+閉鎖に伴ってIIIとなって引っ越しました。旧記事で画像がほしい記事があればコメントいただければ、気づき次第対応します。

すごく楽しかったけどなんかNPBを過小評価してしまいそうだった試合

 昨日は珍しく(大体年一回くらい)、浜スタに友人達とプロ野球を観に行ってきました。年間で野球の試合は軽く二桁の試合数(たぶん平均20試合くらい)は観る私ですが、NPBは特にご贔屓のチームがある訳では無いので(江戸っ子なのでアンチ阪神だけど)、そこまで積極的に観に行くことはないんですよね。高校とか大学とかの母校はすっげー應援に行って観戦数が増えています。高校野球なんかだと1日に3試合とか観れますからコスパは良いです(笑)

 しかし、仕事後にビール片手にナイター観戦は雰囲気も違いますし楽しいですね。普段はMLB.tv観戦なので生の野球はどんなものであってもわくわくしてしまいます。それにスタンドが非常に急な角度を持っている浜スタは非常に観戦がしやすい球場なので嫌いじゃないです。日本の球場はどこもスタンドの傾斜がゆるくて野球が見にくいですよね…特に神宮とか。。。

 さて、とはいえ5時半までは定時な私、何とか急ぎで仕事を片付けてバスに飛び乗ったものの、球場に着いた時点で3回終了。2-0で横浜がリードしておりました。んで、トニー・プラッシュに死球があってあっさり引っ込んでしまったり(実はすごい楽しみにしてた選手の一人)、八木が満塁からめっちゃ良い当たりを打ったのに後藤のファインプレーで得点を阻止されたりと、色々見どころは有りながらも、試合自体は淡々と進んで行きます。

 最終的には後藤の素敵な当たりが左中間フェンス直撃(ぶっちゃけフェンス超えたと思った)で横浜が3点目を取ると、8回裏、山口が乱れ(いつもだ、と横浜ファンの友人)、さらに大原が止められずに満塁となると、まさかのイニングまたぎで元Tampa Bay(笑)のソーサが登場…なんだけど宮本に2点タイムリー。9回も2死まで行きながら連続安打で12塁。しかも4番バレンティン。球場が最後に一番の盛り上がりを見せた対決はソーサが3球連続でスライダーを投げ、3球三振!!!試合は横浜に軍配が上がりました。それにしても一番の山場で守護神にイニング跨ぎをさせるなど最後までCSを見据えた中畑監督の執念を見た気がします(もっともあと一人でいいから信頼できる中継ぎがいればこういう采配にはならないんだろうが…)。

 すごく楽しい試合を見せてもらって、3,000円のチケット分はあったなと満足したのは事実でした。本当はもっと球団/球場主体の應援というか盛り上げをやって欲しいなとも思ったんですが、今の日本にそれを言っても仕方がないですし…実際に應援団が団結してスタンドが一体となって應援するのは結局嫌いじゃないのは事実なので。

 唯一不満に思ったのが、やっぱり日本のプロ野球ってこんなものなの?って思わせる打撃/投球だったのです。そりゃあ9月の5位-6位のチーム同士なのでそこまで無理無理な感じで怪我気味の選手やベテランを打撃重視で積極的に起用する様な試合ではなかったのは事実ですが、それでも正直選手のラインナップと成績を見てげんなりしてしまったのは事実です。ちょっと面白かったのはヤクルトの4-6番がWBCオランダ代表、日本代表、ブラジル代表の順番に並んでたことくらいでしょうか。。。実際どんなもんだったかをちょっと見てみす。比較はMLBの中でも貧打でお馴染みの我らがTB(現地9/18付の打順)と比較してみました。

 って言って、ほらーMLBのが圧倒的じゃーんとか言うつもりだったんですが…あれ?NPBの選手達みんなめっちゃ良いぢゃん…。実際の数字を見てみれば(投手とのバランスという意味では)、MLBよりも良い値が出てきそうです。

 あれー?おっかしいなぁ…。ちょっと気になったので色々調べてみようかとも思います。それにしても日本の野球がこんなに打ってるとは思わなかった…全然パワーレスな野球に見えるのに…飯原なんて3本塁打なのに3番打って…なんて思ったけど出塁率は.368もあるしOPSは.800に迫る勢いなんですねー。

 という訳でちょっとSABR指標系で比較してみます。比較は横浜、ヤクルト、セ・リーグ平均、TB、アメリカンリーグ平均(AL)としてみます。

 このように比べてみるとMLBの方がパワーで優勢であり、打撃力も(投手との相対評価で)高いことがわかります。また、BABIPがMLBの方が高いことから打撃技術に関しても投手よりも相対的に高そうです。また、TBの打撃陣は非常に我慢強く、四球を良く選ぶことでお馴染みですが、AL全体ではそういう傾向が低く、むしろセ・リーグの方がよく四球を選ぶことがわかります。BABIPは運にも左右される傾向が大きい指標であり、横浜はひょっとしたら今年の打撃陣は幸運だと言えるかもしれません。そうなると…来年はヤバいかもしれません。BB/Kを見ればわかるとおり、四球が少ないもしくは「三振が多い」と捉えることが出来るからです。結局、相対的に見ればMLBNPBよりも上なのは主にパワー面と少しの打撃技術だということが言えるでしょうか。三振を嫌って早打ちなイメージがある日本の野球でしたが、そうとも言い切れない様ですね。とはいえ全体のBB%とかK%を見てないのでそこは何とも言えません。ひょっとしたら私の想像以上にNPBの打者は皆、選球眼が良いのかもしれません。

 また、例えばTBでは上にあげた選手ではチーム平均OPSを上回っている選手が9人中4人なのに対し、ヤクルトは8人中6人、横浜も8人中6人という成績が出ています。この理由は投手がやたらとOPSで足を引っ張ることと、レギュラー格とそれ以外の控えとの差がMLBと比較して大きいというのが挙げられるのではないかと思います。全体的な選手層がMLBが厚いというよりもTBが単に金が無くて平均程度の選手を一生懸命やりくりしている、という理由の方がしっくりきますが。とはいえ、そういう選手層の薄さみたいなものも、ちょっとNPBを見くびってしまう理由なのかもしれません。

 とにかく、全体として見ただけではNPBを過小評価してしまうところでした。そんなことは全然なくて全体的に見れば投打のバランスが非常に良いリーグじゃないかと思います。

 …そういえば05年にATLで13勝3敗、ERA2.55とまさに無双状態だったJorge Sosa。なぜこの成績でMLBでは活躍できなかったんだと調べてみたところK/9=5.71に対してBB/9=4.30、FIP4.35、xFIP4.91と実力は大したことがありませんでした。しかしながらLOB%(Left on Base %:残塁率)85.0%と超幸運(通算71.5%)な上に、BABIP.264とこちらも幸運(通算.278:これも好成績)、さらにHR/FB(HR/外野フライ)も7.1%とこちらも幸運(通算10.4%)と、現時点で運要素とされる指標では軒並み幸運をもたらされていて、要はめっちゃ幸運な1年だったということが出来ます。さすがに当時のTBから放出されるだけはありましたね。。。やっぱり勝ち負けや防御率だけで選手を判断することは良くないと言えるでしょう。